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高齢者の熱中症予防に「スポーツドリンク」は危険

 夏の熱中症や脱水を予防するのに、水分を摂取することが推奨されています。

 水分(やミネラル)を補給することは大切です。しかし、そのためにスポーツドリンクを飲むのはやめておきましょう。

 10年ほど前、35度を超えるような酷暑が生じ始めた頃、血糖値が1000mg/dlを超え、熱中症の高齢者が意識を失って病院の救急外来に搬送されることが頻発しました。

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 最初はあまりにひどい暑さのためかと思っていましたが、それにしても血糖値が高すぎます。治療をし、意識を回復された患者さんからよくよくお話をうかがうと、みなさんスポーツドリンクを飲んでいました。それも飲めば飲むほど、どんどんとのどが渇いたそうです。気づけば2Lのペットボトルを半日で飲んでいた方もいらっしゃいました。

 考えてみれば、スポーツドリンクは500mlあたりの糖質量が31g程度。別な形で表現するとスポーツドリンクは6200mg/dlのブドウ糖濃度です。血糖値は100mg/dl程度ですから、圧倒的な濃度差があります。かいた汗の代わりにスポーツドリンクを置き換えるべく飲み続けていたら、気づかぬうちに(正確には高血糖で意識を失ってしまうので、気づけなくなるうちになのですが)血糖値が上がって脱水状態と同じことになるのもご理解いただけることでしょう。

 実は、こうした病状は“ペットボトル症候群”と名づけられ(*5)、医療者の世界ではスポーツドリンクは炭酸系の加糖ドリンクと同様に恐れられているのです。

*5 糖尿病 1996; 39(6): 431-437

 熱中症や脱水予防には、(みそ汁や漬物を摂取なさっていれば塩分は十分以上に摂取していることになりますので)純然たるお水をしっかり飲むだけで十分なのです。