唯一、ニュース番組で「訴状」を取り上げたフジテレビ
情報番組とニュース番組の両方で比較的熱心にこの裁判について報じているのが、フジテレビだ。
2月21日(水)、フジテレビの情報番組「めざまし8」では、名誉毀損の裁判に詳しい田村勇人弁護士の「(松本は)本気で(賠償額を)取れるとは思っていないが、5億円ぐらい認めないと今後も、週刊誌のいい加減な報道はなくならないという思いから請求されているんだと思います。ある意味、アメリカ的な懲罰的賠償」という解説を伝えた。
谷原章介キャスターはこの問題について、「ここのところ、性加害の報道が多いですから、この裁判は今後の他の性加害の事案に対して大きな影響力を与えそうですよね」とコメント。番組として、より広い視座で松本人志の裁判に注目していることがわかる。
翌2月22日(木)、フジテレビの夕方のニュース番組「イット!」では、訴状と「週刊文春」の主張を紹介した上で、前出の田村勇人弁護士がそれぞれの違いを対比していた。
「(「週刊文春」が)地道な取材を長年にわたって行っていたという点は真実相当性を裏付ける一要素になりますね、重要な。松本さん側はそこまで準備万端じゃないイメージですね。文春が立証できるかどうかだけを争点にしたいんだなとは思います」
――今後の裁判の行方については?
「真実相当性でどれだけ多くの女性が法廷に立てるか。あとはそこの女性の訴えを裏付ける客観的な因果関係が出るかが勝負ですね」
ニュース番組は、政治、経済、社会、国際など様々な出来事の中から各放送局が視聴者に伝えるべき重大なテーマだと考えるニュースを伝える役割を担っている。刑事事件化した刑事裁判はしばしば報道対象になるが、個別の民事裁判を細かく報道することはほとんどない。松本人志が原告となった民事裁判の訴状の中身についてニュース番組の中で伝えたのは、2月25日時点で、筆者が確認した限りフジテレビだけだった。
松本人志裁判を熱心に伝えるTBS情報バラエティ番組
TBSの情報バラエティ番組は、松本人志の裁判について様々なタレントや弁護士らが今後の見通しを議論。2月25日(日)放送の和田アキ子が司会を務める「アッコにおまかせ!」もその一つだ。「週刊文春」(2月29日号)から弘中惇一郎弁護士の言葉を引用して紹介した。