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 1話から危なっかしく見えていたが、決定的にクドカンが踏み外したように見えたのが、吉田羊が演じた令和の社会学者キャラクターの描写だ。シングルマザーで中学生の息子を持ち、ジェンダー問題専門の社会学者という設定はネットの保守派にとって格好の攻撃対象だが、ドラマの中でも何のひねりもなく悪者扱いする4話の描写に批判が殺到したのだ。

 吉田羊の元夫(昭和では中田理智、令和では三宅弘城が演じている)が阿部サダヲの元教え子だったことがわかり、タイムスリップのきっかけになったタイムマシンを開発した張本人なことも判明する。

シングルマザーでジェンダー問題専門の社会学者役の吉田羊 吉田羊公式Xより

 しかしその後、昭和に行った吉田羊の息子と中学生時代の元夫が仲良くなってしまい、BLの元祖とも言われる『風と木の詩』(竹宮惠子作)をきっかけに元夫が息子に告白するという事態に発展する。それを息子から聞いた吉田羊が、中学生時代の元夫に対してヒステリックにこう言い放つ。

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「イノウエくん、よく聞いて。あなた自分がモテないからって、女を軽視してる。女性蔑視。あなたそういうとこある、昔から。ミソジニーの属性があるんです、昔から。そういう男に限ってホモソーシャルとホモセクシャルを混同して、同性愛に救いを求めるの。イノウエくん、今ここ。わかる? 女にモテなくて男に走ってるの。あなた中二病なの。女が悪いって考えを捨てない限り、モテないし、変われない」

 たしかに吉田羊は元夫のパワハラに苦しんでいて、その個人的な恨みはあるのだろう。しかしジェンダー問題を専門とする社会学者の発言としては、あまりにも雑だ。

吉田羊の息子役(左)と元夫役が過去で再会する場面も 公式Xより

 こんな昭和の居酒屋でオヤジたちがくだを巻いているような“ホモソ社会ど真ん中の言い分”をクドカンが書いたのか、本当に私たちが知っているクドカンなのかを疑ってしまう雑さだ。

トリンドル玲奈の扱いも「さすがに悪趣味」

 この回が放送されるとLGBTQ当事者や若い世代を中心に、「ふてほど」に対してハッキリ批判的な反応が増えた。

 同じ第4話では、インティマシー・コーディネーター役で出演したトリンドル玲奈の役柄にも違和感を持った人が多かった。

 インティマシー・コーディネーターとはドラマや映画のベッドシーンなど性的なシーンの専門家で、俳優の希望を繊細に聞き取りながら撮影方法やシーンそのものにも関わるプロだ。近年では『エゴイスト』などで起用されたことで有名になり、地上波では『エルピスー希望、あるいは災いー』(カンテレ制作・フジテレビ/2022年)で初めて導入されている。