1ページ目から読む
4/6ページ目

急拡大する町には“欠けているもの”が…

 と、こうして0から1どころか一気に100にするくらいの勢いで、計画都市・つくばが生まれた。ただ、欠けていたのが交通機関。

 つくばエクスプレスが開業するまで、つくばの町には東京都心から直結する鉄道は存在していなかった。東京からのバス、または常磐線土浦駅あたりからバス、というのが公共交通でのアクセス手段。「筑波大学に行くなら覚悟しろ」というのは、まったく陸の孤島のような町で暮らす覚悟をしなさいよ、ということだったのである。

 

 つくばエクスプレスの計画は、1970年代からあれこれと構想が浮かんでは消え、ようやく1991年に“常磐新線”として正式決定したところにはじまる。常磐新線という名からわかるとおり、常磐線の混雑緩和という目的もあったようだ。少なくとも、流山周辺の大発展などはこのときには予想もしていなかったにちがいない。

ADVERTISEMENT

 

 ともあれ、1994年に着工したつくばエクスプレスは、10年以上に及ぶ工事を終えて2005年に開業した。これでつくば一帯の“陸の孤島”も解消されて、商業施設も生まれるなど、都市としての発展がますます進んだというわけだ。

 もともとは広範囲で人工的に開発された計画都市であり、町の中心のようなものがない町だった。そこにつくば駅というランドマークができたわけで、町の発展の起爆剤になったことはまちがいない。