中に入ってちょっとエッチな作品を見てみよう!
三浦 なかなか見入っちゃう絵ばかりだね。どれも撮りたくなっちゃう。
都築 そうでしょう。踊り場にあるのは、売れっ子画家ロッキン・ジェリー・ビーンの絵。こっちのはSMとヨガが趣味の台湾人写真家の作品。自分で自分を縛ってヨガのポーズをとり、自動シャッターで撮影しているのだそう。そっちは中田柾志という人の写真で、清掃の仕事をしながらお金がたまるたびフランスへ飛び、パリのブローニュの森で娼婦のポートレートを撮らせてもらっているんですって。
上のほうの大きい絵は、子育てを終えた主婦の方が描いたもの。女性と牛が宴会している不思議な絵柄なのは、本当は男女で描きたかったんだけど、あまりに直接的な表現じゃまずいかなと思って、男を牛に置き換えたのだとか。
三浦 有名無名を問わずごちゃ混ぜだけど、ほかじゃ見られないような作品揃いでおもしろい。
都築 奥のほうには大竹伸朗や空山基といった名の知れた人の絵も飾ってあるけど、無名作家の作品と区別はしていません。ここで気づいてほしいんですよ、いい絵かまずい絵か、うまいかヘタか、上品か下品かというのはだれかが勝手に言ってるだけで、そんなの気にする必要ないんじゃないの? ということに。作品を観るときには自分の好き嫌いだけ考えればいいんだと、ここで実感してもらえたらいい。実際、来てくれた人はすごく楽しそうにどの作品も観てくれるから、それが何よりです。
優秀な男女の交合で新人類を殖やして…
三浦 それにしてもこれだけの作品、いったいどこで見つけてくるの?
都築 苦労して探し続けているというわけじゃなくて、自然に集まってきたという感じ。僕はコレクターでもありませんから。ほとんどは仕事で出会った人たちですね。取材で知り合い作品を気に入ったから買ったり、あとは取材させてもらいたいがため、こちらの本気度を見せる手段として作品を購入することもあったかな。
話しているうち階段を上り切り、3階の展示室へ。そこには幾体もの等身大マネキンが散りばめられた、壮大なインスタレーションが展開されている。
三浦 すごい! これはちゃんとした美術館っぽい展示だよ。
都築 本当? それはありがとう。三重県にあった「元祖国際秘宝館 鳥羽・SF未来館」が廃館するとき、展示品の一部を買い取ったんです。それを修復・修繕して、ストーリー仕立ての展示方法や雰囲気をできるだけ引き継ぐかたちで展示しています。