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受刑者の「~さん」づけは「大事なことを分かっていない」

 坂本は今、憂慮していることがある。慰問のコンサートに対して官の管理が厳しくなり、受刑者には声を出したり、手を上げたりせずにおとなしく鑑賞する指導がなされているという。

坂本敏夫氏 ©文藝春秋 

「慰問に対して大声出すなとか、感動しても立つなとか言われる。刑務所の中で唯一大声を出せるのが、運動のときだけ。そんなのはおかしいですよ。

 2022年に発覚した、20人以上の若手刑務官が受刑者に暴行を繰り返した名古屋刑務所の事件を受けて、法務省は、受刑者をはじめ刑務所や拘置所などに収容されているすべての人を、名字に『さん』をつけて呼ぶよう、2023年12月から運用を改めるという通達を出しました。

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 しかし、そういう問題でないと思うのです。大事なことを分かっていない。私はそれを心配しています」

 坂本はスターたちの慈愛に満ちたステージ上でのMCを忘れていない。それに対して答礼のスタンディングオベーションすら許さない昨今の刑務所にいらだちを隠せないでいる。