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「本当に通報しない。彼氏に会いたい」

「何で怒られたか分かってるの。3人の女について、分からないことを謝らないからだよ」

「本当にごめんなさい」

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「私たちのことどう思ってる?」

「何も悪いと思っていません」

 同年2月28日午前9時10分、三重県伊賀市の道の駅でトイレに立ち寄った際、A子さんにスマホを返し、これが事実上の監禁終了となったが、天池と山下はさらにA子さんを連れ回し、大阪の天池の知人宅に連れて行かれた。

 そこを出てドン・キホーテ道頓堀店に行くことになり、A子さんは店に入ってからが逃げ出す絶好のチャンスと考えた。

《拉致られた。今大阪にいる》

《あと少しで逃げるチャンスがあるかも》

 A子さんは彼氏に助けを求めるLINEを送り、天池たちが店に入った後、走って逃げ出し、コンビニで助けを求めた。まもなく駆け付けた警察官に保護された。

A子さんを保護した大阪府警南署

金を用意できなかった門田さんを暴行した上で殺害、遺棄

 A子さんはケガをするような暴行は受けていなかったが、天池の前科を彷彿とさせるような拉致監禁事件だ。2人はA子さんに対する事件で警察に追われる身になったが、その最中に起こしたのが門田典子さんに対する事件である。

「天池は門田さんの自宅までは知らなかったが、地番を割り出して門田さんの自宅のインターホンを鳴らした。出てきた門田さんに20代の頃、携帯の名義人になったこと、ある男友達を巡って三角関係になったこと、門田さんに紹介された買春客が料金を支払わなかったことなどで文句を言い、話し合いのために連れ出した」(愛知県警詰め記者)

亡くなった門田典子さん (フェイスブックより)

 それが2022年3月6日のこと。この日、天池は門田さんに責任を取らせるのではなく、A子さんに尋ねて探していた3人の女性のうちの1人の女性宅へ行き、「借金6万円」の返済を求めた。女性はなけなしの3000円を支払い、なぜか「20万円を返済する」という誓約書を書かされ、門田さんも「無事に」自宅へ送り届けられた。

「門田さんは天池が買春客に踏み倒された1万5000円と携帯代2万円の3万5000円を要求されていた。天池の訪問後に保護司に電話をかけ、『友達にお金を要求されている』と怯えた様子で相談していた。その後、保護司が《大丈夫?》とLINEを送った際には返信がなかった。2人は『金が作れないなら、死を選ぶしかない』と追い詰め、門田さんを殺すことにしたそうです」(前出・愛知県警詰め記者)

 2022年3月12日、天池と山下が再び門田さん宅を訪問した。これが門田さんにとって死出の旅になった。門田さんは天池に金策を求められ、消費者金融で借金しようとしたり、父親に借りようとしたり、勤務先の介護施設から借りようとしたが、いずれもうまくいかなかった。

「山ちゃんにもガソリン代と気持ちの分で4万円を払ってよ」

 結局、合計7万5000円を用意できないことから、天池や山下から馬乗りになって殴られるなどの暴行を受けることになった。2人は門田さんが死体遺棄事件を起こした愛知県豊田市の伊勢神トンネルの現場などを連れ回し、「このまま帰せば警察に通報される」という考えから、口封じのために殺すことにしたのだ。