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日本人の“さもしい”家選び

 日本人は「家=資産、財産」という考え方にとらわれすぎているように思います。

 これは、日本人の多くが農民だった頃の名残りかもしれません。土地を耕して農業を行なう、そのためには土地と家は絶対に必要な財産であり、一度自分のものにしたら手放すことなく、そこで生活を続ける。このテーゼに縛られてきたのです。

 家を資産だと思えば思うほど、資産価値はいくらなのか、という考えにとらわれます。そうして、自分が住んでいるマンションの中古価格を気にしたり、値上がりするマンションを買うことが目的化したりします。

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 しかし、住宅は住むためのものであって、カネ儲けをするためのものではありません。自身のライフステージに応じて、その時・その場に最適な住宅を、「賃貸」であろうが、「所有」であろうが選べばよいのです。そうした意味で、日本人の家選びほど、さもしいものはないように思えます。

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 私は不動産投資のアドバイザーとしても活動していますが、投資の世界はとても厳しいものです。多くの知見とマーケットに対する見通し、リスクの検証とそのヘッジなど、複雑な考察を経て行ないます。

 確かに、ここ10年近くにわたった金融緩和で、結果的に含み益を得たマンション所有者は多数います。しかし私から見れば、それは偶然の結果にすぎません。しかも自宅の場合は売却益をいくら出したところで、買い替えたなら、値上がりした簿価の高い住宅にバランスシートが入れ替わっただけです。

 これからの家選びは、自身のライフステージを熟考して、その時にベストな居住環境を享受できる住宅を無理のない資金計画で買う、無理なら賃借する。そうすることで新しい生活を手に入れていただきたいと思います。