今からちょうど10年前、32年に及ぶ放送を終えた「笑っていいとも!」。最終回では明石家さんま、ダウンタウン、とんねるず、ウッチャンナンチャン、爆笑問題、ナインティナインなど錚々たる面々が同時に出演しフィナーレに花を添えた。ここでは『「笑っていいとも!」とその時代』(集英社新書)より一部抜粋。伝説となった最終回でタモリが見せた、いつもの「ニヤニヤ笑い」と「仕切らない司会」の意味、そして慕われ続ける理由を探る。(全3回の3回目/#1#2を読む)

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「とんねるずが来たらネットが荒れるから」

 こうしてかつてと変わらぬさんまとタモリの丁々発止のやり取りに会場は大いに盛り上がったが、この部分、台本では5分の予定がすでに20分余り。相当な時間オーバーである。そこに「長いわ!」という浜田雅功の叫びとともに乱入してきたのが、ダウンタウンとウッチャンナンチャンだった。

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©文藝春秋

 早速とばかりに、浜田が明石家さんまの口にガムテープを貼って黙らせる。それでもジェスチャーゲームの要領でしゃべろうとするさんま。それでは伝えたいことも伝わらないとわかると、我慢できなくなって自分で剝がしてはしゃべり、また浜田にテープを貼られる羽目に。そこに、さんまによるカットインの絶妙の間合いをずっと見ていた松本人志が「このひと、まだまだ売れるわ!」と感嘆交じりの合いの手を入れるなど、このくだりがずっと続いた。

 もうひとつ、キーワードになったのは、「ネットが荒れるから」である。乱入してきた際、松本人志が「我々も、とんねるずが来たらネットが荒れるから」と言っていたのだ。もちろん本当に嫌がっていたわけではない。「仲が悪い」という噂があった2組の共演に対する視聴者の期待を心得たうえでのフリである。

 果たして、「長えーよ!」と今度は石橋貴明が叫びながらとんねるずも乱入してきた。ここぞとばかりにうろたえたような体で「ネットが荒れるから」と繰り返す松本。とんねるずのもうひとり、木梨憲武はと言うと、その騒ぎにはいっさい構わずいつもの自由さで「みんなもおいで」と客席の芸人やタレントに呼びかける。そこに爆笑問題とナインティナインもしびれを切らしたかのように登場し、芸人の輪に加わった。