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実物大のディーゼルカー「キハ28形」も保存展示

 敦賀赤レンガのとなりに実物大のディーゼルカー「キハ28形」が保存展示されている。1968年に富士重工(現・スバル)が国鉄向けに製造した車両で、1999年まで急行「わかさ」として東舞鶴~敦賀間を走った。ふだんは客室内に入れないけれども、敦賀市に申請すればイベントスペースとして使えるようだ。3月16日には北陸新幹線の敦賀延伸開業を記念した乗車体験会が実施された。

 欧亜国際連絡列車時代の建物を復元した「旧敦賀港駅舎」がある。1999年に敦賀港100周年記念で開催された博覧会「つるが・きらめき・みなと博21」のシンボルとして建てられた。「敦賀鉄道資料館」として欧亜連絡時代から近年までの鉄道資料を展示している。

 敦賀市は、かつて敦賀港駅があったエリアと廃止された敦賀港線を使って鉄道公園を作る構想を掲げている。周辺には劇場のほか、オーベルジュ(ホテルレストラン)、マルシェ、スイーツショップなどをメインとした大規模複合施設を造り、金崎宮へ遊歩道を作って回遊性を高める。鉄道公園には転車台を設置し、短距離ながらトロッコ列車の運行も視野に入れるらしい。

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日本遺産の構成文化財の1つ。旧北陸本線の山中信号場跡。左はスイッチバック用の線路で、トンネルの奥は行き止まり。右が本線用の山中トンネルで、現在は道路になっている。単線の線路として作られたトンネルのため、クルマ同士のすれ違いや大型バスの通行ができない

 敦賀を中心に、南の長浜、東の南越前町の鉄道遺産は「海を越えた鉄道~世界へつながる 鉄路のキセキ~」と題した日本遺産に登録されている。線路の付け替えで廃線となった旧北陸本線のトンネル群など、当時の鉄道の難所を解決した施設群だ。南越前町はSLを模した小型バスを持っており、ときおりトンネルを巡るツアーを実施している。

小浜線で舞鶴へ。田園と海の風景がいい
こちらは舞鶴の赤れんがパーク。博物館や舞鶴市政記念館、レストラン、イベントホールがある。敦賀~舞鶴を結び、赤レンガ倉庫をテーマとした旅も楽しい

 敦賀からJR小浜線で西へ向かうと舞鶴市だ。こちらも天然の良港で北前船の寄港地であり、明治政府が鎮守府を置いてから軍港として栄えた。JR西日本は秋から敦賀を起点として舞鶴、その先の城崎温泉を結ぶ観光列車「はなあかり」を運行する計画だ。JR小浜線は京都丹後鉄道の観光列車「丹後くろまつ号」が特別運行し、敦賀市と天橋立を結んだことがある。

 敦賀市はもっともっと楽しいエリアになりそうだ。敦賀駅の乗り換えだけではもったいない。降りて、観光して、泊まって楽しもう。