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北陸新幹線の金沢~敦賀間がついに開業 56年ぶりに「東京から乗り換えなし」になった敦賀駅の数奇な歴史と“意外な観光名所”

北陸新幹線の金沢~敦賀間がついに開業 56年ぶりに「東京から乗り換えなし」になった敦賀駅の数奇な歴史と“意外な観光名所”

鉄道ファン垂涎の名所がたくさん

2024/03/30

genre : ライフ, , 社会

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 2024年3月16日、北陸新幹線の金沢~敦賀間が開業した。福井県にとって「(福井駅から)東京へ新幹線で乗り換えなし、約3時間」の喜びは大きい。

 しかし実は、終点の敦賀駅では事情が複雑だ。これまでのルートである「米原駅で東海道新幹線と在来線特急しらさぎを乗り継ぐ」ほうが東京駅に早く着き、運賃も安いのだ。

北陸新幹線試乗会にて、金沢駅新幹線ホームからJR西日本の在来線特急車両681系電車が見えた。3月16日以降は見られない景色だ

東海道新幹線+在来線と比較してみると

 たとえば3月21日午前7時発でYahoo!路線情報を検索すると、以下の通り。

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東京~福井 北陸新幹線経由  2時間51分 16010円

 

東京~福井 東海道新幹線経由 3時間25分 16620円

 

東京~敦賀 北陸新幹線経由  3時間08分 16560円

 

東京~敦賀 東海道新幹線経由 2時間48分 14140円

 さらにややこしいことに、時間帯によって所要時間が逆転するし、運賃+料金も変わる。希望のルートがある場合は、経由地点に「金沢」「米原」と入れる必要がある。

 運賃+料金は定価で比較しているが、「えきねっと(JR東日本)」「EX予約・スマートEX(JR東海)」「e5489(JR西日本)」などのオンライン予約システムを経由すると割引で安くなるし、時期によってはおトクな企画乗車券も登場するので注意が必要だ。

 とはいえ、せっかく開通したので北陸新幹線の金沢~敦賀間に1度は乗ってほしい。なぜなら、近年開通した新幹線の中でも、北陸新幹線の金沢~敦賀間は車窓が楽しい区間なのだ。トンネルが少なく、全長125kmのうち約7割が橋梁や高架橋で、鉄道用語でいう「明かり区間」となっている。並行在来線に沿う区間が多く市街地が広がっており、夜景も楽しめそうだ。

東京から敦賀まで乗り換えなしで行ける!! (筆者撮影)

車窓を楽しむなら「左側のE席」がオススメ

 金沢から敦賀へ向かう場合、オススメは進行方向左側の車窓。座席番号で言うとE席だ。遠くに霊峰白山を眺められるし、新幹線の車両基地、白山総合車両所もこちら側にある。小松駅を過ぎると湖が見えてくる。これは木場潟といって、白山山系を源流とする水郷公園だ。

金沢駅発車後、犀川を渡る。車窓から遠くに白山連峰を望む
白山総合車両所。隣接地に見学施設「白山市立高速鉄道ビジターセンター」ができた
木場潟。花の季節に散歩で一周したくなる

 芦原温泉駅を出て、福井駅に着く手前に一級河川の九頭竜川を渡る。ここにかかる橋は珍しい「鉄道道路併用橋」といって、北陸新幹線の線路の両側に一般県道「福井森田丸岡線」があり、一体的に建設された。新幹線の線路を挟むように県道があり、北陸新幹線側は「九頭竜川橋りょう」と呼び、県道側は「新九頭竜橋」と呼ぶ。

山の景色が良い。季節を感じさせてくれるだろう
芦原温泉駅。温泉街らしさをイメージしたデザイン。各駅の可動式ホーム柵はガラス部に沿線の特徴的な風景や物産の写真を掲示。車内からも楽しめる
九頭竜川橋りょう。道路併用橋だが座っているとわかりにくい。街灯が道路の存在を示している

 鉄道道路併用橋は瀬戸大橋や長野電鉄の村山橋などがある。しかし新幹線と一般道の併用橋は全国初とのこと。線路と道路が並んでいるけれども、新幹線側は防風壁があり、道路は低い位置にあるので座席に座ったままでは道路は見えない。街灯が道路の存在を知らせてくれる。クルマを追い抜く様子をハッキリ見たい時は立ち上がるか、デッキに出て扉の窓から眺めよう。