「みんなが欲しいのは、チャンスなのです。実は結果以前に、チャンスを手に入れることが簡単ではないのです」
大谷翔平の二刀流も、WBCの世界一奪還も、「信じ切る力」がなければ実現しなかった――2023年3月のWBCで、日本を世界一に導いた栗山英樹氏が語る「チャンスをつかむ」方法とは? 新刊『信じ切る力 生き方で運をコントロールする50の心がけ』(講談社)より一部抜粋してお届けする。
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信じることが「チャンス」につながる
チャンスというのは、やってくると本気で思わないと、やってこないと僕は考えています。本当にやってくるのか。それは誰にもわかりませんが、来ると思わなければ来ない。だったら、そう信じるしかないのです。
そして、そう思っていれば、苦しい中でも少しだけ光が見える。希望が見える。大変かもしれないけれど、前を向ける。
また、頑張っている姿を見て、まわりの人が「自分も頑張ろう」と思うかもしれない。それは、肉親かもしれないし、学校の先生かもしれない。すぐ近くにいる誰かかもしれない。
だとすれば、我慢して頑張っていることにも意味があります。意味付けなんて必要ないかもしれないけれど、意味付けをすることで、少しでも自分を納得させられる。
周囲は現実的には、助けてあげられません。自分でなんとかするしかない。でも、やるべきことをやっていたら、必ずチャンスが生まれてくるよ、という思いは伝えられます。それは、苦しいときの支えになるかもしれない。誰かが言葉を発することで、何かが生まれてくるはずだと思うのです。
僕自身には、人と比べたら大して苦しい経験はありません。でも、世の中を見ていると、苦しんでいる人が一気に前に進むときというのは、「この人は頑張っているから、なんとかしてあげたい」という思いのようなものがまわりに生まれていくのだと感じています。
そうやって、誰かが手を差し伸べる瞬間があるはずだと、僕は思いたいのです。
野球の世界と比較するのは的確ではないかもしれませんが、誰が見ても、こいつは頑張っているな、努力しているな、こいつをなんとかしてやりたいな、と思えるような選手は、一度ステージに上がります。
そのままずっと二軍では終わらない。一度は一軍に来てチャンスをもらえる。ただ、そのチャンスで結果が出るかどうかはわかりません。そこには運もあるし、努力の量もある。
ただ、チャンスをもらえることが最も大事なことなのです。チャンスをもらえたら、自分で勝負するしかない。
みんなが欲しいのは、チャンスなのです。実は結果以前に、チャンスを手に入れることが簡単ではないのです。