父からもらった唯一の言葉
――その一方で、反省点をメモして一日考え続けたり、適当にできないという性格だと。心の持ち方というかメンタルコントロールが上手だなと思いました。
「全然上手ではないです(笑)。なるべく自分の軸を持とうと思っているというか、調整っていう感覚ではないかもしれない。軸をブらしちゃいけないっていうのは、もう教えだったので」
――それは誰の教えですか?
「父親の教えで、やっぱり軸はブラすなって。それだけは唯一もらった言葉っていうか。もちろんどんな人間もそうですが、父親も別に賛辞だけがある人ではないと思うので。そんな中でも、自分のやることに全力を注いでいる背中を見ると、自然と自分自身もそういう考えになったというか」
――多くを語らずに、そうやって分かり合える親子というか。
「みんな、それぞれ自分勝手なんですよ、多分(笑)」
――自分勝手にしてはとても素敵です。
「なんかそれが奇跡的にマッチしただけであって、この家族は。だから、それをまとめた母親は僕はすごいと思いますね。やっぱり。みんなお父さんの話を聞きますけど、この家庭で一番偉いのは、母親だということを忘れてはいけない(笑)」
家族がまとまっているのは母親のおかげ
――やっぱりお母さんがすごいんだよと?
「っていうことを伝えていきたいなって。僕を育ててくれたのもそうですし、お父さんの教育論とか聞かれますけど、そうじゃなくて、母親がすごかったっていうことを言いたいなと思っていて。どうせ聞かれるなら(笑)」
――息子さんにそう言われると、お母さんも喜ばれますよね。
「そのはずなんですけどね。そういうのもあんまり喜ばないタイプですね。ちょっと変わってます(笑)。でも、父親はサッカーでいなかったし。ほとんど1人で僕と弟を育ててくれました。今、大人になって、この家族がまとまってるのは母親のおかげだということを忘れないようにしたい。これからは僕らが頑張って幸せにしていけたらいいなと」
――お母さん孝行ってしてますか?
「してもらった分に比べたら全くしてないかもしれないです」
――誕生日プレゼントを贈ったり?
「そうですね。大人になって会わなくなる時間が増えるというのが僕は嫌なので、やっぱり誕生日はちゃんとお祝いして。自分のプライベート優先には絶対にしたくないなって」
――本当に家族思いですね。
「みんなが勝手に生きるから、僕がまとめ役になってます。みんな思うままに生きてるので、間を誰かが取らないと空中分裂していっちゃうかなって(笑)」
――お父さんも生涯現役でプレーされていますが、ご自身は?
「そうですね。僕自身がそんなに器用なタイプではありません。あれこれ手を出せるタイプでもないし、そんなできた人間じゃないから、僕にはこの仕事しかできない。ここまで生きてきた自分自身を最大限に表現として活かせるように、ずっとやっていけたらいいなと思っています」