人気ポータルサイト「給料BANK」から生まれた異色の職業紹介本がヒットしている。「不動産鑑定士」等の士業から「お坊さん」に至るまで、様々な職業を平均給与とともに紹介していく堅実な内容なのだが、添えられたイラストに工夫がある。それぞれの職業の個性や魅力を象徴的に表現した、ゲームやライトノベルを思わせるファンタジックなイラストなのだ。

「ネット発の本の企画を通す場合、アクセス数などの数字が基準になることが多いんです。しかし本書は、企画の切り口の面白さで、すんなり書籍化が決定した、珍しいケースです」(共同担当編集者の九内俊彦さん)

 もともと想定されていた主なターゲットは、イラストに惹かれて手に取るサブカル好きや学生たちだった。しかし蓋を開けてみると、意外な反響が寄せられた。

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「既に仕事に就いている方から、本書を読んで『自分の仕事はカッコ良かったんだと気付いた』との感想をいただいたことは印象深かったですね」(九内さん)

「『13歳のハローワーク』(村上龍 幻冬舎)の現代版だという評もありました。職業のことを考えようとしている若い方はもちろん、お子さんやお孫さんのいる方が、家族で仕事について話し合うきっかけを作るために買ってくださっている例もあるようです」(共同担当編集者の阿草祐己さん)

 職業をめぐる新しいコミュニケーションの芽吹きが感じられる。7月には第2弾の『Plus』が発売予定。

日本の給料&職業図鑑

給料BANK(著)

宝島社
2016年1月9日 発売

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2016年1月発売。初版1万部。現在7刷7万部