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 そして、この人選を巡って、我が国の再エネ利権や取り巻く環境について単なるロゴ混入問題ではないと指摘され、1週間経過してなお燃えております。

 それもそのはず、この再エネTF自体は設置法上の根拠があいまいであるにもかかわらず、今回問題となっている再生可能エネルギーの固定価格買取制度であるFITの価格策定や、国民の電力代金に上乗せされる再エネ賦課金を幾らにするのかを決めるエネルギー基本計画に対し、具体的な提言をできる立場にあるからです。

 つまり、このロゴを混入させた人選が何故問題で、どうしてこういう人に国民負担の大きい国のエネルギー政策への低減が可能だったのか、きちんと検証する必要があるのです。

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ソフトバンク系の自然エネルギー財団固有の問題点は…

 4人の有識者により構成されている再エネTFのうち2人はこの中国国営企業とゆかりが深いとみられるソフトバンク系の自然エネルギー財団の所属であり、残る2人も経済産業省OBの川本明さんと原英史さんです。原英史さんは産業競争力会議民間議員であった竹中平蔵さんのサポート役としても著名ですね。河野太郎さんが、なんでこのソフトバンク系再エネ推進派を経産省傍流の元官僚と共に重用してきたのかは割と重要なポイントなのです。

 このうち大林ミカさんは、反原発系の市民団体として古株でもある原子力資料情報室(CNIC)の元幹部であると同時に、国際的な環境主義団体である国際環境NGOグリーンピース・ジャパンの理事も務めています。グリーンピース・ジャパンは取材に対し20年3月に大林ミカさんの理事就任を認めている一方、後述するアジアでの送電網構想については「アジアでの国際的な発電・送電網については、現時点で弊団体としての見解はございません」としています。

 再エネTFの有識者招聘・構成にあたっては、別報道でもある通り、河野太郎さんが信頼を置いていた経産官僚の山田正人さんの関与が深いとされてきました。しかし、関係先の話を総合すると本人の能力的な課題もあって山田さんはすでに事実上制御できる状況ではなくなっており、河野太郎さんのブレーン役として長く務める伊藤伸さんら一般社団法人構想日本などが関わっているのではないかとも見られます。

 関係先の資料を当たってみると具体的な政策提言において伊藤伸さんはむしろ再エネTFの動きに対して自制的に動いており、状況的に、河野太郎さんからの信頼をレバレッジにして国のエネルギー政策に介入しようとしている、という点で、大林ミカさんらソフトバンク系の自然エネルギー財団固有の問題であると考えざるを得ません。

 このソフトバンク系の自然エネルギー財団が抱える安全保障上のリスクと、再エネ賦課金におけるある種の戦犯の一端を担った部分については、かねて議論があります。

そもそも再エネ賦課金するきっかけは…

 そもそも再エネ賦課金を導入せざるを得なくなったきっかけは、もちろん東日本大震災に伴う福島第一原発事故で、原子力管理行政に疑念の声が高まり、すべての原子力発電所を再点検するため安全稼働が確認されるまで全原子炉を止める、という途方もないエネルギー政策の転換と引き換えに、当面は火力発電所で電力を賄う一方、再生可能な自然エネルギーへの転換を企図することになります。

 2011年3月11日に福島で原発事故が起きるまでは、経済産業省の下に原子力管理を統括する原子力安全・保安院が置かれていましたが、これが馴れ合い体質などで原発事故を防げなかったという反省から、より厳しい安全な管理基準と人事の切り離しを目的として原子力規制委員会が発足します。日本のエネルギーだけでなく、国土を壊滅的に損壊させかねない悲惨な原発事故ですから、安全稼働に向けて政策を打つのは当然ではあります。ただ、チェック機能の強化は重要としても、それまで安全稼働していた原発までついでに止めてしまう判断を下したのはまぎれもなく当時の旧民主党政権です。

 13年7月、ここで定められた、より厳しい安全基準を満たすまでは原子力発電所の再稼働を認めないという方針になったのです。