そのあいだ、再生エネルギーについては太陽光パネルや地熱、水力、風力などによる再生可能エネルギーの振興を目指した旧民主党政権の総理・菅直人さんが、再生可能エネルギー拡大を企図する孫正義さんと意気投合しています。
首相、孫正義氏と3時間会食
http://www.asahi.com/special/minshu/TKY201105140583.html
この時点で、孫正義さんが設立を準備しているとしていた財団こそが、まさに今回中国国営企業のロゴが入った資料を政府に打ち込んだ自然エネルギー財団です。
その過程で、総理の菅直人さんが再生エネルギー振興を目的として、世界的に見ても突出的な高値である再生エネルギー固定買取価格であるFIT42円/kWh(キロワット・時)という法外な価格を決めてしまいます。
アジア各国を送電網で結ぶことのリスク
最近再エネ賦課金が値上がりしており、その大元はいまの電力事情、再エネ問題というよりは、2011年から14年までに原因となる大問題が凝縮されています。原発事故のタイミングで別に止めなくてもいい他地域の安全稼働していた原発まで止めてしまったため、電力が不足し、火力発電を総動員させざるを得ず旧式火力も起こしてきて国富を垂れ流しLNGをボンボン燃やしてどうにか切り抜けたのも、昼間にしか発電しないのに電力システムに載せられて買取義務付けられて四苦八苦してるのも、対応しているのはすべてもともとの各大手電力会社(旧一電)の皆さまなんですよね。
そして、ここで立ち上がった自然エネルギー財団は、幾つか報道でも出ておりますが、 孫正義さんによる日本の電力を海外から調達する野心的なプラン「アジアスーパーグリッド構想(ASG)」の実現を目指すための母体となっています。
アジアスーパーグリッド(ASG)とは
https://www.renewable-ei.org/asg/about/
このアジアスーパーグリッドは多国間による国際的送電網のことであり、自然災害の多い日本のエネルギー調達先の多様化のために、中国や韓国、モンゴル、ロシアなどアジア地域各国を送電網で結ぶという壮大なものです。他方、すでに似たようなものが実現しているヨーロッパと異なり、経済圏としてのEUや集団安全保障体制としてのNATOのような枠組みがまったくないアジアにおいて、資源のない日本が中国や韓国で行われた電源開発で出来た電気を買って送電してもらう、というのがどれだけ安全保障上のリスクであるかという基本的な問題意識が欠けています。
アジアスーパーグリッドこそ、中国が進めている貿易政策のひとつ
そのヨーロッパですら、主たるエネルギーをロシアからの天然ガスパイプラインに頼っていたところ、ロシアがウクライナ侵略を開始したためにエネルギー不足に陥り、それまではメルケル的理想主義もあって再生エネルギー中心の脱炭素・原発ゼロで頑張れると意気込んでいたのにすべてが崩れ去って原子力発電所もグリーンエネルギーですとか言い始めて手のひら返しすぎだろという状況になっています。