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《東京女子医を家宅捜索》「私に関するフェイクニュースが…」“女帝”とナゾの側近2人が絡んだ疑惑のカネ「警視庁が考える“本丸”は…」

《東京女子医を家宅捜索》「私に関するフェイクニュースが…」“女帝”とナゾの側近2人が絡んだ疑惑のカネ「警視庁が考える“本丸”は…」

東京女子医大の闇#19

2024/03/31
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 岩本絹子氏は佐賀・唐津市の出身で、1973年に女子医大を卒業、産婦人科医として複数の病院に勤務する。34歳の時、女子医大で同期だった女医と共同で、東京・江戸川区に葛西産婦人科を設立した。女子医大の創立者一族でもあり、至誠会の中で強い存在感を放ってきた。

 2013年から至誠会の会長(代表理事)に就任、2019年に女子医大の理事長になってからも、会長職は兼務していた。しかし、2022年4月発売の「週刊文春」や文春オンラインによる「疑惑のカネ」報道に対して、岩本氏が説明責任を果たしていないとして、至誠会の会員(同窓生)が、2023年4月に臨時社員総会を開き、岩本氏の会長解任を要求した。その際、岩本氏は会員たちに向けて怒りを隠さずに、次のように主張している。

岩本絹子氏

「私に関してフェイクニュースが流れまして、非常に迷惑というか、困っている。私は自分なりに精一杯ですね、この30年間やってまいりました。全部否定されるということであれば、本当にですね、はっきり言って残念というよりも悔しい。私は決してですね、至誠会とか女子医大を裏切るようなことは一切しておりません」

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同窓会から不正に得たとされる巨額の報酬

 自分の正当性を必死に訴えた岩本氏だったが、投票の結果、あえなく会長職を解任された。そして、新体制になった至誠会が、岩本氏や側近XとYに関して調査を実施したところ、不正な支出とみられる報酬が多数見つかったという。

至誠会に勤務実態がない元職員で岩本氏の側近X 
至誠会第二病院の元事務長Y

 岩本氏は、2013年から6年間にわたり役員報酬以外に「顧問料」の名目で、合計約2000万円を得ていた。また、元事務長のYは、2021年3月に特別賞与として1070万円を得ていたが、他の職員にこのような支給はない。そして、岩本氏に影のように付き添っていた秘書役のXには、2015年から8年間で合計1億1366万円の給与が支払われていた。この中にYと同じ特別賞与1070万円が含まれる。しかもXには、全く勤務した実態がなかったことが判明した。

 新体制の至誠会は、一連の不正な報酬は岩本氏の決裁によって行われたとして、合計1億4436万円の返還を求める裁判を2023年10月に東京地裁に提訴していた。至誠会では、この情報を警察に提供しており、今回の家宅捜索は、Xに対する給与2000万円分に関して捜査令状をとったようだ。

 東京女子医大には、午後6時過ぎに警視庁のトラックが横付けされて、家宅捜索で押収された、大量の証拠資料が運び出された。 

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