Q 周庭さんとのカナダでの再会はいかがでしたか?

 池上さんが周庭(アグネス・チョウ)さんと6年ぶりに対面で取材された「ワールドビジネスサテライト」(3月7日放送回)を観ました。おふたりの対談シーンをみて大変驚きました。ぜひ、再会された印象を、改めてお聞かせいただけたら幸いです。(30代・男性・会社員)

香港の民主活動家・周庭さん(27)。許可なくデモを組織したなどの罪で2020年12月に実刑判決を受け、7カ月後に出所。「自身の安全を考慮した結果、おそらく一生香港には戻らない」と発言し、現在はカナダのトロントに留学、事実上の“亡命”をしている ©時事通信社

A トロントは居心地のいい場所のようです

 前回のこので周庭さんについての質問に答えたときは、実は周庭さんに会う直前でした。テレビ東京での独占インタビューのためにトロントに行く直前で、それ自体を秘密にしなければならなかったので、その時点で回答できるギリギリの文章になってしまいました。実際に会えたので、そのときの様子を答えますね。

 彼女がいるのはカナダのトロント。行ってみてわかったのですが、トロントの街は実に多様な人たちが住んでいます。とりわけ目立つのが中国系とインド系でした。多くの中国系の人たちが行き交うので、周庭さんが街を歩いていても目立たないのです。これは意外でした。街の人たちは周庭さんに気づきませんし、周庭さんも「気づかれることはありません」と話していました。トロントの街は彼女にとって居心地のいい場所のようです。

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自身のYouTubeチャンネルでトロントでの生活について語る周庭さん(YouTube「周庭チャンネル」より)

「カナダの警察に守ってもらっているのですか?」と尋ねたら…

 それでも警戒は怠らず、どこに住んでいるか明らかにしません。私たちは市役所の前で待ち合わせ、テレビ東京が借りた貸しスタジオでインタビューしました。

3月7日放送の「ワールドビジネスサテライト」で、カナダに留学中の周庭さんに対面取材を行った池上彰さん(番組公式Xより)

「カナダの警察に守ってもらっているのですか?」と尋ねたら、「ノーコメント」との回答が。これって、答えているようなものですね。ちょっと安心しました。

「カナダに亡命申請したのか?」と聞いたところ、「いまは留学ビザで滞在できているから亡命申請はしていない。留学ビザが切れた段階で考える」と答えていました。

 インタビューは日本語と英語で行いました。日本のアニメを見て独学したという彼女の日本語には、どことなく幼い印象もあったのですが、英語での受け答えからは、しっかりとした意志がより強く伝わってきました。さまざまな試練を経て成長している様子でしたよ。これからは落ち着いて勉学に打ち込めるといいですね。

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