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「俺はヤクザではないんや」暴力との決別を決意した理由

 二度と他の人に、自分の衝動的な行動で迷惑をかけたくない。

 元々身体が強かった自分にとって「暴力」は、使えば人を屈服させることができる便利なツールだった。考えてみれば「言葉」で相手を説得することは、暴力によって相手を服従させるよりはるかに時間がかかるし、手間もかかる。そこで気がついたのは、

「俺はヤクザではないんや」

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 という当たり前のことだった。実は「暴力」は「説得の努力」からの逃避に過ぎない。

 それでも暴力を使わなければならない場面がある。例えば自分の「城」である店を攻撃された時。あるいは、自分の大切な存在が暴力に晒された時だ。

 このように自衛のために致し方なく暴力を使うことはあっても、二度と自分から暴力を行使することはしないと誓った私がいた。

写真はイメージです ©Tomoharu_photography/イメージマート

経営した飲食店を3年で閉店することになる原因

 店を持つにあたって繰り返し繰り返し反芻したのも、「暴力」との向き合い方だ。

 そこで振り返ったのが過去に潰した2軒の飲食店だ。Xの選手時代に西成でバーと串焼き屋を経営したものの、いずれも3年で閉店してしまう。

 気がついたのは、その大きな原因の1つが不良仲間だったことだ。

 サップ西成が店をオープンしたと知れば、必ず不良仲間は来てくれる。不良は寂しがり屋が多いので、5人、10人と大人数になることがほとんどだ。格好をつけたがる傾向が強いので、落とす金額も大きい。

 だがそういう店は、一般の人にとっては「ややこしい店」にしか見えない。そんな店に1人で入って落ち着いて飲もうとは思わないのである。