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私はいつだって、可愛い女の子に憧れた。クラスメイトの女の子たちは、サラサラの栗色のロングヘアーを惜しげもなく伸ばして、スカートを履き、ときにはお下げにしたり、流行りのダメージがかったジーパンを履いていたりもした。
しかし私には、そんな「女の子」としての振る舞いは許されなかった。私は彼女たちが話すアイドルや好きな男の子の話、そして、流行りの洋服の話などにまったくついていけなかった。
それでも、小学校中学年のうちはまだよかったと思う。みんなまだ幼く、おおらかだった。しかし、小学校高学年になって思春期が近くなってくると、様相は変わってくる。多感な時期に差しかかるほど、人は異質なモノに敏感になるものだ。
「あの子、ヘン」「キモチワルイ」
そして通っていた学校は、県内でも有数の進学校ということもあり、子どもたちが親からプレッシャーやストレスを人一倍抱えていたことも大きかったと思う。クラスメイトたちは、いわば生贄を求めていたのだった。
圧力釜の内部で吹きこぼれそうなほどに高まった圧は、いつだってもっとも弱いモノにしわ寄せがくる。母が私を虐待の対象にしたのと同じだ。そしてクラスメイトの中で、もっとも異質で「浮いていた」私が、その格好のターゲットとなるのに時間はかからなかった。
小学5年になりクラス替えがあると、私はまず女子のグループから徹底的に仲間外れにされた。最初は些細なことだったと思う。
いつだったか、「あの子、ヘン」「服がおかしい」「キモチワルイ」そんな言葉を投げかけられたのが、すべてのはじまりだった。しかし、それは徐々にクラス全体へと波及していった。