スマホ「ながら運転」死亡、重傷事故は過去最多に
最近、横断歩道上で歩行者が犠牲になるという、あってはならない事故の報道が目立ちます。警視庁資料「歩行者の交通人身事故発生状況(令和5年中)」によると、歩行者の事故は3年連続で増加し、横断歩道の横断中の事故は1758件(前年比191件増)となっています。
本来ならドライバーが最も緊張し、歩行者が守られるべき場所で、なぜこのような悲惨な出来事が相次いでいるのか。その理由のひとつとして、「ながら運転」が影響している恐れがあるのではないでしょうか。
警察庁のWebサイトによると、令和5年中(2023年1月~12月)の携帯電話・スマートフォンの使用による死亡事故は25件、全死亡事故の1.24%となっています。重傷事故件数は97件で、いずれも令和3年(2021年)以降、増加傾向にあり、携帯電話・スマホ使用なしと比較すると死亡事故率が3.8倍に増加しています。
スマホなどの「ながら運転」はどれほど危険なのでしょうか。それはブレーキを踏むわずかな遅れが、重大な事故を起こしてしまう危険性があるからです。
また、同サイトによると、運転者は2秒以上視線をそらすと、危険を感じるそうです。時速60キロで走行した場合、車は2秒間で約33.3メートル進みます。その間に、歩行者が道路を横断しようとしていたり、前の車が急に停止したりしたら、前方の危険に気づかず、大事故を起こしてしまう危険性があるのです。
厳罰化しても捜査をしなければ意味がない
国は「ながら運転」の危険性を重く見て、2019年12月から、道路交通法を改正してまで厳罰化を行いました。携帯電話での通話だけでなく、カーナビやテレビの操作、携帯でのゲーム、SNS、漫画を読むといった行為も罰則の対象です。
運転中に携帯電話やスマホで通話や画面を注視する違反「携帯電話使用等(保持)」は「6カ月以下の懲役又は10万円以下の罰金」に。携帯電話の使用により事故を起こすなど交通の危険を生じさせる違反「携帯電話使用等(交通の危険)」は、「1年以下の懲役又は30万円以下の罰金」が課されることになりました。