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「勝者のメンタリティなんです」「“面白い”のハードルを絶対に下げるな」…担当編集者がシビれた、高橋留美子の“レジェンドたる所以”

高橋留美子・歴代担当編集者インタビュー #4

source : 週刊文春Webオリジナル

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「先生、文春の“あの企画”が好きなんですよ」

岡本 先生にシビれたもう一つのポイントは、コンテンツが大好きなところ。本当にあらゆるものを読んだり観たりしていらっしゃる。それこそ『週刊文春』の記事もチェックされていますし。

森脇 週刊誌でいうと、先生は『文春』と『新潮』を毎週買っていらっしゃるんです。僕も『RINNE』や『MAO』の担当だった時は、雑談のネタにいつも購入していました。サンデーの打ち合わせは月曜日なので「先週、こんなことがありましたね」って一緒に振り返って。見出しがダジャレになっていたりして面白いですよね(笑)。あとそうだ、先生も僕もあの企画がすごく好きなんですよ。年末にいつも載っていた、そっくりさんの……。

―― グラビアの「顔面相似形」ですね。その年の話題の人をピックアップして、有機物、無機物問わず、似ているものを並べるという。モノクログラビアの終了に伴い2023年を最後に休止中ですが、編集部でも楽しんで作っていました。

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森脇 渾身の企画ですよね(笑)。先生とキャッキャしながらよく見ていました。

岡本 本当に幅広くアンテナを張っていらっしゃるんですよ。今話題の漫画はもちろん、小説からアニメ、ドラマまで全部。X(旧Twitter)で連載されている『ちいかわ』もすごくお好きで(笑)。

生への執着と意志が胸を突く「人魚シリーズ」。『ちいかわ』の「島編」に相通じる点も……?/X(旧Twitter)「高橋留美子情報」より

―― サンデーの目次コメントでも『ちいかわ』にたびたび言及されていますよね。「心温まる作品は?」という質問に「ちいかわの日常回」と答えていらっしゃいました。

岡本 不穏な回は心がざわざわしちゃうそうで……。そうしたトレンドの作品だけではなくて、往年の名作にも数多く親しんでいらっしゃいます。それも「仕事の糧になるから」という義務感からではなくて、本当にただ読みたいから読んでいる印象を受けるんです。私が「この漫画、面白かったです」と送ると、あんなにお忙しいのに1~2週間後には感想をくださって。ずっと好奇心を燃やし続けているところもすごい才能だなと思います。

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