『世界はラテン語でできている』(ラテン語さん 著)SB新書

 長らく西洋圏の知識人の必須教養とされてきたラテン語。現代の日本人とは縁遠いようだが、実は今でも私たちの身近にラテン語は溢れている。たとえば「プリウス」「メルカリ」といった商品やサービスの名称。ラテン語から派生した単語も「ビタミン」「コンピュータ」など数限りない。賛美歌の歌詞で触れている人も少なくないだろう。

 著者はそんなラテン語の魅力をX(旧Twitter)で精力的に発信している在野の研究者。学術的な話題からポップカルチャーの中のラテン語まで幅広い話題を豊かな学識に基づいて紹介し、多くの読者から支持されてきた。本書はそうした経験が反映された、軽やかな読み応えのラテン語入門書だ。

「語学に馴染みのない人でも手に取りやすい本にすることを意識しました。文法事項の解説は思い切って省き、引用したラテン語にはすべてルビを振る。誰でも触れてきた世界史や科学の話題から、マンガやアニメのややマニアックなネタまで、幅広い知識を大量に詰め込んで、いろいろな切り口からラテン語に興味を持てるようにしています」(担当編集者の北堅太さん)

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 巻末には著者と『テルマエ・ロマエ』(この大ヒット作のタイトルもラテン語だ)の作者・ヤマザキマリさんとの対談を掲載。さまざまな工夫が功を奏し、見事、老若男女問わず幅広い読者に届いているという。

2024年1月発売。初版1万1500部。現在6刷6万6000部(電子含む)