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LE SSERAFIMがこれほど多くの批判を受ける理由

 大衆文化評論家のイ・テジュ氏は、「LE SSERAFIMには以前から歌唱力に対して疑問符がついており、今回のステージを通じてその批判が噴出したのではないか」と語る。

「最近はほとんどのアーティストがARを使用するため、歌唱力があるかどうかが大きな問題ではないとも言われています。ただ、ARを活用するとしても、ARそのものがメインとなるステージ(=リップシンク、口パク)と、一部だけ活用するにとどめるステージとは大きな差がある。LE SSERAFIMは『前者に近い』という指摘を受けています。

 他のグループに比べてLE SSERAFIMがこれほど多くの批判を受けているのは、以前から『歌唱力が不安定だ』と問題視されていたからではないでしょうか。K-POP界ではアイドルに対してもかなり高いレベルのパフォーマンス力を要求しており、歌唱力を備えていないグループは単なるパフォーマーに過ぎないと批判されてしまうのです」

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 一方、大衆音楽評論家のファン・ソノプ氏は、「K-POPは歌唱力だけで評価されるカテゴリーではない」との見解を示す。

「歌唱力の他にも、パフォーマンスの完成度、ステージで魅せる力、メンバー同士のバランスなどもK-POPの重要な要素であり、何より観客が楽しめるということが一番良いステージだと思います。そのような観点から見れば、LE SSERAFIMの1回目のステージは、彼女たちが準備したすべてのものを注ぎ込み、観客を楽しませるという自信やエナジーが感じられる、迫力あふれるものだったと思います。個人的には安定感があり無難に行われた2回目のステージより、1回目の方が楽しめました」

米時間の4月20日、「コーチェラ」のステージに立つLE SSERAFIM ©時事通信社

 また、ファン・ソノプ氏はLE SSERAFIMへの批判が韓国でヒートアップしている理由について、「韓国人はK-POPを国が誇る文化として考えているため、高いレベルを維持することにプライドがある」という点に加えて、「LE SSERAFIMが属する“第4世代ガールズグループ”は競争が激しいので、他のグループのファンたちが煽っている面もあるのでは」と解説する。

 音楽を楽しむ祭りの場であるコーチェラだが、韓国のK-POPシーンでは、まるでオリンピック競技のように優劣をつける場として認識されている。K-POPアーティストたちにとって、コーチェラは夢を掴むための大きなチャンスである一方で、実力を厳しく評価される試験場にもなりつつあるのだ。