根岸吉太郎、森田芳光、神代辰巳――様々な監督の現場で助監督を務めた金子修介監督は、ロマンポルノ『宇野鴻一郎の濡れて打つ』でついに監督デビューを飾った。
なんとアニメ『エースをねらえ!』のパロディとなった『濡れて打つ』はなぜ生まれたか。そしてこれを観た日活幹部の反応は…?
好評インタビューシリーズ第2弾の最終回。(全4回の4回目/最初から読む)
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自主映画とプロの現場との違い
――8ミリとプロの現場では何が一番違うなと思いました?
金子 照明に時間がかかることだったですかね。ただ、それをのぞけば本質的には変わらないから、自分はプロの現場だということで吸収しようという気持ちにあんまりならないやつだった。それを反省しているんですけど。
――「ここが勉強になるな」と吸収しようという気持ちはなかったですか。
金子 そう。あまりそういうふうに思えないんですよね。ただ、根岸吉太郎監督が俳優をコントロールするやり方とか、神代辰巳監督とかもそういう瞬間はすごいなと思いましたけどね。
監督が俳優をうまくコントロールするというのは、目の前で見て感心していたというか、感心というのも上から目線かな。常に自分は上から目線なんですけど(笑)。
――でも、内心そういう気持ちだったんですね(笑)。
金子 そういう気持ちなんですよ。自分でできるかどうかというのまでは分からないわけですけど。
――自分がやればもっとうまくやれるという思いはずっとお持ちだったんですね。
金子 そう。8ミリからスタートした人は、そういうふうにみんな思っているんじゃないかな。どうなんだろうか。
――僕はそうでもなかったかな。僕はプロの世界とは全然違うところで作ってきたから、プロの映画と自分を比較することはあまりなかったと思うんですけど。
金子 これがロマンポルノじゃなかったらもっと違ったかもしれないけど。ロマンポルノの現場と大学の8ミリの現場との、本質的な差があんまり分からないのに、なんで自分は助監督なんだということなんですけどね。
――ロマンポルノというのは、他の大手の映画に比べると小規模だったし、ある意味手作りな部分が大きかった。そこが自主映画に近かったんですかね。
金子 そうですね。手作りと同時にセックス産業でもあるから、自分の性体験も貧しかったので、そういったことも目の前で見てということもあったかな。
――セックス産業という言い方もあれですけど、そういうシーンさえあれば結構自由度があったんですか?
金子 自由度というのはあんまり感じなかったんですよね。