大学を卒業して日活に入社した金子修介監督は、様々な監督たちの現場に助監督として参加した。のちに『家族ゲーム』や『メイン・テーマ』を発表することになる森田芳光監督は『の・ようなもの』が評判を呼んでいた。(全4回の3回目/最初から読む

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森田芳光監督の助監督に

――8ミリから商業映画に直接来た監督といえば森田芳光監督もそうですが、森田さんの助監督にも就かれましたよね。

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金子 はい。『ピンクカット 太く愛して深く愛して』のチーフ助監督です。あとは『家族ゲーム』と『メイン・テーマ』の、計3本です。

――森田監督の印象はどのようなものでしたか?

金子 石井(聰亙)君に対するよりも嫉妬心が強かったかな(笑)。

 最初からちょっと嫉妬的な感情はあったんですけど、森田さんは人を乗せるのがうまくて、面白がらせるのがうまい。

――そういう方だったんですね。

金子 お互いに渋谷区出身なので、小学校の体育大会は国立競技場でやったよねとか、修学旅行で泊まった日光の旅館は伊藤克信の実家だよとか、そういう話で盛り上がったりして、一緒にやっていくうちに楽しくなっていったという感じですね。

――森田さんに嫉妬心を持っていたのは、8ミリ出身監督で、あの時代どんどん出世していたというか、映画が撮れる状況になっていったという部分なんですか? 

金子 そうですね。もう名前は結構広まっていて、『の・ようなもの』を見て面白いな、才能あるなと思っていた。

森田芳光監督

 けれど、年に2人くらいのロマンポルノの新人監督枠というのがあるので、そこに外部から森田さんが入ってきたらこっちの席がなくなるだろうという意味の、嫉妬的な感情ですかね。僕は1年後に監督デビューですから、やはり対抗心がありますよ。

 ただ、8ミリをやっていたことの共通もあるけど、大学映研の雰囲気を持っているんですよね。楽しんでやるみたいな感じがあって。で、協力してあげようという気持ちになっていった。他の監督よりも面白いなと思ったし。