新潟県警や静岡県警から機動隊員が派遣
その歳で3カ月前には生死の境をさまよったかもしれんのに、今日は興味と興奮を隠しきれないようであった。そこで仕切り役の略帽をかぶった若い警察官が声を上げる。「皆さーん、私たちは今日新潟から来ました機動隊でーす」。そうである。両陛下が訪れる予定の沿道には関東管区警察局に所属する新潟県警や静岡県警から機動隊員が派遣されていたのである。ワシが能登で常宿にしている民宿の大宴会場にもしばらくの間、関東管区警察局の機動隊員が寝泊まりしていた。
12時35分、能登空港までの特別機の機材トラブルで1時間遅れていたものの、ご自身の休憩時間をお削りになり、若干遅れただけで「A」のステッカーを貼られたシルバーのSUVが目の前を通り過ぎ役場の駐車場に入っていき、12時50分「2」のステッカーを貼られたパトカーが通り過ぎた。
「部隊は脱帽!」警備していた私服の機動隊員がかぶっていた略帽はもちろん識別のためもあったが、脱いだ帽子をちいさくたたみしまいやすいためでもあったのである。
「それじゃあ、私たちも皆さんの方を向いてここに立ちますが、両陛下は少し高いとこにお見えになりますから、ご心配なく」
「ほんにこないに近くでお顔をみられるとは」
12時52分、「雅子さまぁ!」「ばんざぁい!」「うわあ、やっぱりきれいやわぁ!」人垣から歓声が巻き起こり、えっ、ウソ! というぐらい近くを両陛下が乗られたマイクロバスは通り過ぎた。速度は20キロ以下やろか、無茶苦茶ゆっくり。バスの右側の窓が開け放たれているから遠目からでもお二人のおられる位置は分る。まさにDJポリスの説明通り、少し高い位置から集まった住民全員が、お姿を見られるところから一人ひとりに視線を渡しながら手を振られていた。
「うわぁ! 良かったぁぁ!」「ほんにこないに近くでお顔をみられるとは……長生きしてよかったわぁ!」手を振っていた女性、手をあわせていたお年寄り、スマホを向けるのに夢中だったヤンママ、みな反応は様々だったが、一様に感動と興奮を隠せないでいた。