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 千葉県の熊谷俊人知事は「これだけ集積しているのに、より東京都に集積させていくのは、社会的にもコストが高い状況を作り出すことになりますので、あまり望ましいことではないのかなとは思っています。昔から働く場所と、住む場所との役割分担があったのですが、この間、東京都がかなり子育て施策を充実されていて、より東京に集中するような傾向がある」と複雑な心境を述べた。

 首都圏にとって、定住人口の増減は職場がある東京へのアクセスが重要なポイントだ。熊谷知事はこうした面に触れたうえで、「東京湾アクアライン(神奈川県川崎市-千葉県木更津市間)があることで、人口が増加したり、維持されたり、減少が緩やかになったりしている」と語った。

 ただし、「東京圏は諸外国と比べて、あまりに通勤時間が長い。東京に本社が集積しすぎているというのが要因としてあります」とも述べた。

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 東京集中に関する問題指摘は、距離によって変わる。

「東京への過度な集中」が起きる要因とは?

 本州の最西端・山口県の村岡嗣政知事は「東京がダントツで少子化しているのに、なぜ人口減少しないかというと、どんどん外から人が入っている。集めているからです。いずれ地方が人材を供給できなくなれば、たちどころにそれが顕在化します。人口減少は東京から離れた地区で起きている問題ではない」と力説した。

「東京への過度な集中」が起きる要因として村岡知事が挙げたのは大学の偏在だ。

「全国の大学の定員の4分の1が東京にあるわけです。1都3県合わせて全国の4割が集まっている。そもそもこういう構造自体がいびつです」と言う。

 なぜ、これほどの集中が進んだのか。村岡知事は「昔は工場等制限法というのがありました。『等』の中に大学も入っていて、大学の首都圏での立地を制限していたんです。それが規制緩和で平成14(2002)年に廃止され、大学の定員は東京都にどんどん増えました。今は東京23区内で大学の定員を増やすのは止めようという法律ができました。ただ、この法律ができた段階で、既に決まっていた定員増の計画は認められたので、さらに東京の大学の定員が増えたのです」と説明した。

 都市部には「地方に産業はないから人材もいらない」という誤解がある。村岡知事はこれにも反論した。