「日本は今、半導体や蓄電池産業に力を入れています。半導体の最終製品は台湾や韓国がシェアを持っていますが、半導体を製造する機器ですとか、あるいは素材の部分では日本が世界のシェアの半分を持っています。山口県にも世界トップシェアの素材を製造している企業がいくつもあります。地方でしっかりとしたモノを造り、技術を磨いて、人材を確保していかないと、日本の国力は維持できません。そういうことも踏まえて、過度な一極集中をどう抑制するのかということに本腰を入れて取り組んでいかなければ、日本の将来は描けないと思います」と語った。
三重県の一見勝之知事は「ブラックホールに対するなら、ホワイトホールを考えないといけない」と主張した。
東京圏に吸い込まれた人をどう戻していくか。その方法は…
ブラックホールはあらゆる物体が吸い込まれ、光でさえ逃げ出せない天体のことを言う。一方、吸い込まれた物体が出てくるとされているのがホワイトホールだ。
「東京圏への人口流出の防止も大事なんですけど、東京圏に吸い込まれた人をどう戻していくか。帰って来て下さいと言っても、帰って来ません。なぜかというと、働く場所がないからです。企業の分散を進めるべき」と、一見知事は述べた。
だが、これには記者側から簡単にはいかないのではないかと疑問が呈された。
一見知事は「東京には国会があるし、行政府もある。大学も多いし、多くの人が集まってくる。企業は東京にある方がメリットがある。移転にはどういうインセンティブ(優遇措置)をつけるかということじゃないかと思います」と語った。さらに、三重県の強みは「東京と大阪の真ん中にあること。多くの人材がいて、住んでいただくのにとてもいい場所。新幹線で来る場合は、名古屋で乗り換えるとそんなに遠くはない。リニア新幹線が(最速で)2037年に開通すると、東京まで1時間、大阪まで20分です」と魅力を語った。
多くの人を吸い取ってしまう東京の魔力。
科学的にブラックホールはほぼ間違いなく存在すると考えられているが、ホワイトホールは実在するかどうかが疑問視されている。
吸い取られたものを戻すのは、一筋縄ではいかないかもしれない。