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『万葉と沙羅』では、古本屋でバイトする万葉くんが読書が苦手な沙羅ちゃんに本を選ぶコツを教えてたりしますけど、自分に合う本を探すっていうのは、それってある意味「勘」なんですよね。その本のイラストがいいなぁでも良いと思うし、全体的な雰囲気、帯の文句とか、なんでもいいんです。自分が引っ掛かるものがあるっていうのがたぶん大事で。普段からアンテナを張ってないと、なかなか引っ掛かんないんですよね。だから、「なにか読もう」と思って選ぶというところから、まさに読書は始まっています。読書ってすごく能動的なものなんです。受け取るばっかりではなくて、自分から入っていかないとあまりキャッチ出来ないんです。で、キャッチする所はたぶん読む人によってそれぞれ違っている。みんな一人一人違うわけだから、たとえ同じ本を読んでも響くところが違って当たり前で、正解も間違いも何もないんですよ。それぞれ感じたことが、全部正しいんです。

写真・杉山秀樹(文藝春秋写真部)

悩みやストレスで困ったとき、中高生に伝えたいこと

 悩みがあるのは、生きていれば当たり前のことです。いままわりにいる大人たち――お父さんもお母さんもみんな中高生のとき同じように悩んでいたから。悩んでいたけど、みんな大人になってる。そして、たぶん大人になってまた別の悩みを抱えるようになる。ただ、その乗り越え方とか発散の仕方を覚えるだけ。

 自分を鼓舞したり機嫌を良くするっていう事は、誰かにしてもらうんじゃなくて、最終的に自分にしかできないんですよね。それが出来て、誰が得するって自分が得しますよ。自分の機嫌の取り方は、自分が一番良く分かりますよね。

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 そのためには、手段はたくさん使った方がいいです。自分のまわりにいる人たちの存在は大きい。でも、そういう人間関係って、相手を自分で選べないし、出会いには運不運もありますから、いい人に恵まれない状況のときでも、本だけは選べます。本当に出会いたい本を自分から探しにいくことができる。そしてそれは、自分にとって大きなプラスになっていきます。