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――なぜそう思えるのでしょう。

ハセン いろんなコミュニティに属することで、フラットに人と対話するスキルを身につけられたと思っていて。

 僕のバックグラウンドからお話しすると、母が日本人で、父がイラク人なんです。異なる宗教や文化、価値観を持つ両親のもとで育ったので、多様な文化や、“自分と違う価値観”みたいなことを意識せざるを得なかった。だから、幼いときから「そもそも人は違って当たり前」と思うようになりました。

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 そのうえで、いろんなコミュニティに属しながら、周囲の人とフラットにコミュニケーションを取って、信頼関係を築くようにしていたんです。

 相手が若手会社員の集まりだろうが、著名な政治家だろうが、ヤンキーだろうが、属性じゃなくその人自身と向き合うところから、対話はスタートすると思っています。

 

アナウンサーを目指すようになった“きっかけ”

――先入観を持たないから、どんな人とでもフラットに話せるのですね。では、改めてアナウンサーを志したきっかけを教えていただけますか?

ハセン よくメディアでは「母が昔アナウンサーに憧れていたから」と言っているのですが、それはアナウンサーという職を知ったきっかけにすぎません。

 アナウンサーを意識するようになったのは、大学3年生で進路を真剣に考え始めた頃です。「僕はどうすれば社会に貢献できるのか?」「やりたいことはなんなのか?」と考えてたどり着いたのが、テレビの世界でした。

 エンタメで笑ったり、スポーツで勇気を与えられたり、報道で考えさせられたりと、テレビを通していろんな感情を教えてもらいました。テレビには、僕の興味関心がたくさん詰まっている。

 そして、アナウンサーという職種なら、僕の発信でより多くの人の笑顔が見られるかもしれない。そう思ってTBSのアナウンサー職を受験したところ、無事に内定をいただけたんです。

 

アナウンサーの仕事で意識していたこと

――学生時代の「自分の発信で人を笑顔にできた経験」が、巡り巡ってアナウンサーへと結びついたのですね。

ハセン そうです。でも、実際のアナウンサーの仕事は、想像とはかなり異なりました。アナウンサーは発信が仕事だと思っていたのですが、それはあくまで一部分。発信するよりも、人の話を聞く時間のほうが圧倒的に多いんです。

 そして、ただ聞くだけではなく、視聴者に理解してもらえるよう、分かりやすい言葉で相手の話を引き出していかなければいけません。その点がとにかく難しかったですね。

――テレビの視聴者は、年齢も職業も幅広いから、誰にでも分かるように伝えるのはかなり難しそうです。ご自身の中で意識していたことはありますか?