ハセン 1人でも多くの視聴者に届くように、僕自身が理解できるかどうかは大事にしていましたね。自分が分からないことは、人に伝えられませんから。そのために、「分かったふりをしない」「背伸びしない」ことを常に意識していました。
もちろん、最初からうまくいったわけではありません。先輩や共演者の方から、たくさんアドバイスをいただきながら、自分にあったスタイルを見つけていきました。
加藤浩次さんから教わった「負けの美学」とは?
――著書には、和田アキ子さんや加藤浩次さんといったベテランタレントの方々から対話術を学んだ、と書かれていましたね。
ハセン おふたりからは、本当にたくさんのことを教えていただきました。TBS時代、金曜日に加藤浩次さんが司会を務める『スーパーサッカー』、日曜日に和田アキ子さんが司会の『アッコにおまかせ!』を担当していたことがあって。
ほぼ毎週のように、加藤さん、アッコさんと仕事をして、飲みに行って、というのを繰り返していたんですよ。それはメンタルを鍛えられますよね(笑)。
――飲みに行った際、どんなお話をされていたのでしょうか。
ハセン 加藤さんは、仕事に対する哲学やメディアのあり方を話してくださることが多かったですね。責任感が強くて漢気があって、ユーモアも兼ね備えていて。加藤さんから教わったことは数え切れないほどあるのですが、その中でも「負けの美学」は特に印象に残っています。
――「負けの美学」とは、どのような意味でしょう?
ハセン 変なプライドを持たずに、あえて自分の弱さをさらけ出して相手に向き合う、という意味かなと思っています。そうすることで、相手も本音をさらけ出してくれるようになる。虚勢を張るよりも、結果的に聞きたいことを引き出せるんです。
加藤さんのような実績もスキルもあるベテランが、今でも「負けの美学」を意識していることに感銘を受けましたね。
和田アキ子さんからは「声が大きすぎる」と指摘され…
――和田さんとは、どんなお話が印象に残っていますか。
ハセン アッコさんには、よく怒られました。相づちが多すぎる、声が大きすぎるって(笑)。でも、ストレートに指摘していただいたおかげで、自分の改善すべき点がはっきりと分かって、ありがたかったです。長年芸能界にいらっしゃるので、テレビや番組の歴史も教えていただきました。
おふたりに共通していたのは、これまでたくさんの経験をしてきて、あらゆる角度から物事を見ているから、何事に関しても人一倍感度が高いこと。加藤さんとアッコさんの前に立つと、すべてを見透かされているような気がして怖いんですよ(笑)。