SNSの利用時間が長い人ほど睡眠時間が短く、自己肯定感が低く、自分の容姿に自信を持てないなどの傾向も……。SNSが生活に与える悪影響を、明治大学法学部教授の堀田秀吾氏の新刊『12歳から始める心が折れない技術』(秀和システム)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/前編を読む)
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SNSは「うらやましい」であふれている
X(旧ツイッター)やインスタグラム、ユーチューブやティックトックなど、現代社会の重要な情報源として定着したSNSですが、いろいろな悪影響が出ていることが近年の研究によってしめされています。
ここでは、「嫉妬」について考えてみます。
ネットでほかの人の投稿を見て「うらやましい」と感じる心。そして、その感情がもととなって、投稿者を攻撃したり、自分自身とくらべて落ちこんだり……いろいろな問題につながっていきます。
20代や40代の大人がSNSで、相手がきずつくような、ひどい悪口を言ったり書いたりする理由の一つに、「嫉妬があるから」という調査結果もあります。
とくにインスタグラムのように、写真や動画をアップロードすることがメインのSNSは、ほとんどの人がより多くの「いいね!」をほしがるので、自分の生活のイヤな部分や、きたないものは見せません。
自分が行った「映える」背景の場所、かわいい服、おいしい食べ物、話題の持ち物など、みんなが「いいね!」と思ってくれるようなものを投稿します。つまり、いい面ばかり見せようとするのです。それを見ているほうとしては、うらやましくなったり、嫉妬心をいだいたりするのも当然です。
また、他人と自分を比較することは、あまりいい結果をもたらしません。
イスラエルのテルアビブ大学の研究者らによる、こんな実験があります。ふだんはSNSの使用が禁止されている会社の社員に、SNSを使ってもらった結果、SNSを使用して自分と比較をすると、幸福度が下がることが明らかになりました。
また、若い社員ほど比較をする傾向があったそうです。では、なぜ人は他人と比較をしてしまうのでしょうか?