「サッカーが大好きだった彼は、アスリートのような姿勢で仕事に挑んでいた。朝はいつも5時に起きて、ランニングをする。体を鍛えることで頭も鋭くなるからだ。
インタビューを受けている彼はリラックスしているように見えるが、音楽を作っている時の彼はリラックスとはほど遠く、まるで軍人のようだった。彼は決して完璧な人間ではない。
(マーリーの息子の)ジギーは、『彼の持っていた目標は完璧だった』と言ったが、そのとおり。彼の目標は、自分の日常で起きる会話の中にあることを、メッセージとして発信することだったんだ」
MLB志望→幼稚園の先生→映画監督の異色のキャリア
実は、グリーン自身も元アスリート。幼い頃に野球を始めたグリーンは、大学でも野球をプレイし、メジャー・リーグに入るためのトライアウトにも2度挑戦した。
だがプロになる夢はかなわず、幼稚園の先生を経て、大手金融保険会社AIGでダイバーシティとインクルージョンのディレクターに。27歳にして映画作りを学ぶと決め、フィルムスクールに入学したのは、先に映画を作り始めた兄の影響だ。
「映画監督になりたいと真剣に願っていたというより、兄の手伝いをしているうちに、自分もちょっとやってみようかなと思ったというのが本当のところ。でも、いざ入学して映画作りを学び始めると、一度も後ろを振り向かなかったね。
これまでやった仕事の中で、映画監督は最もスポーツ選手に近い。カメラマンが必要で、編集という作業があって、まさにチームワークだ。野球をやって若い頃を過ごした僕は、この仕事に出会えて、再び自分にとって心地良い環境に戻れたように感じている」