風俗店の男性スタッフが、勤めている女性と肉体関係を持つことは、風紀と呼ばれご法度とされている。好意や親しさからえこひいきが生まれ、特定の女性にフリーの客や太客を優先的に付けたり、出勤のシフトを優先するなどの優遇が起きると、ほかの女性キャストたちに不公平感を抱かせかねない。キャストたちのモチベーションが下がれば、最悪の場合、退店してしまうこともある。風俗店は女性キャストがいてこそ、売り上げが成り立つ。なので、店の空気を乱す危険性を孕んでいる風紀は、厳しく禁止され、発覚した場合にはスタッフ・キャストの両者ともに店を追放されるのみならず、多大な罰金が科せられることもある。
ホストクラブに足を運んだきっかけ
が、一方では色恋管理というものも存在している。女性キャストに恋愛感情を抱かせ、それを利用して店側に都合よく働かせるテクニックで、スタッフが個人的にしている場合もあれば、店側もグルになっている場合もある。
「お店には絶対内緒だよって言われて、身体の関係を続けていたんですけど、一年経ったときくらいに、その人がお店を辞めちゃって。わたしは彼にガチ恋だったから、いないとお店に行ってもつまらないんですよ。だからわたしもお店を辞めることにして、彼に連絡してみたら、今は風俗のスカウトマンやってるって。彼の紹介でヘルスで働くことになって。セフレみたいな、ヒモみたいな感じの関係を続けていました」
スカウトマンは、キャバクラやAV、風俗店などに女性を斡旋することで、仲介料を得る職業で、スカウト会社に所属している場合もあれば、フリーで活動している者もいる。
仲介料には、買い取りと、永久バックの二種類のシステムがあり、キャバクラなどのナイトワークの場合は買い取り。ピンサロやヘルス、ソープやAVなどの場合は、永久バックのことが多い。業種や状況によっても違うが、風俗店への斡旋の場合、女性が紹介先の店舗で働き続ける限り、おおよそ総額の10%から25%程度がスカウトの手に渡り続ける。
しかし、これらのスカウトはグレーな仕事だ。そもそも職業安定法によって、有害業務の紹介は禁止されている(職業安定法63条の「次の各号のいずれかに該当する者は、これを1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金に処する。2号 公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行つた者又はこれらに従事した者」)。
実際に、本番行為のあるソープランドやAVなどに斡旋した業者が、売春防止法違反になり得るとして逮捕された例などもある。
話を本筋に戻すと、結衣が初めてホストクラブに足を運んだのも、その頃だった。