リム・カーワイ監督をキュレーターに迎えてリニューアルした「台湾文化センター 台湾映画上映会」。その第2回が5月24日夜、台湾文化センター(東京・港区虎ノ門)で開かれた。

 台湾の今を描いた名作、意欲作を紹介する企画に多くのファンが詰めかけた。上映後に行われたトークイベントの模様をレポートする。

◆◆◆

ADVERTISEMENT

監督は30歳代の女性2人

 この日上映されたのは、今年3月「第19回大阪アジアン映画祭」でプレミア上映され話題を呼んだ『春行』(しゅんこう・東京初上映・公開未定)。

『春行』 ©今日影像藝術

 トークイベントには、同作の2人の監督、ワン・ピンウェン(王品文)監督とポン・ズーフェイ(彭紫惠)監督がオンラインで参加。また会場には、今年、長編第3作『遠いところ』で第5回大島渚賞を受賞した工藤将亮監督が登壇した。

『春行』

 台湾の郊外の高台に暮らす熟年夫婦。貧しく、口喧嘩も絶えないが、互いを思い合いながら愛情あふれる日々を送っていた。

 しかしある朝、妻は帰らぬ人となっていた。妻の死を受け入れられない夫は、その遺体を冷凍庫に入れ、身近に保存しようとする。そんな時、ある事情から疎遠になっていた一人息子が帰ってきた――。

 16ミリフィルムによる懐かしくも美しい映像と、説明を排した語り口が、深い余韻を残す。30歳代の女性2人の共同監督作であることも話題だ。2023サン・セバスティアン国際映画祭最優秀監督賞受賞、2024香港国際映画祭批評家連盟賞、同最優秀男優賞受賞。

 

監督:ワン・ピンウェン、ポン・ズーフェイ/出演:シー・シアン、ヤン・クイメイ/2023年/台湾/93分