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 標的がレーダー以外の場合であっても一大事だ。

 艦橋を破壊すれば、艦内のCIC(戦闘指揮所)が無事であっても出航は困難になる。護衛艦の出航に不可欠なタグボートを破壊してもよい。特に護衛艦『いずも』は飛行甲板が張り出している為に、使用できるタグボートが限定され、これをドローンで破壊すれば、いずもの出航に重大な支障をきたす。

“やりたい放題”の状況だった

 なお、量産型カスタム師らの見解によれば、おそらく以下の図のように米空母や駆逐艦を撮影し、その帰りに海上から侵入して護衛艦「いずも」を撮影するルートを辿ったものと思われる。これは今回使用したと思われるドローンMavic3のバッテリー容量を考えれば十分に可能だ。

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国土地理院の空撮画像を一部加工 出典:国土地理院ウェブサイト

 つまり、やりたい放題の状況にあるということだ。

 数人程度の工作員グループが、小型爆弾を積載した小型民生ドローン・偵察ドローンを横須賀基地等に侵入させ、停泊する艦艇のレーダーや艦橋を爆撃し、日米の海上戦力を長期にわたり機能不全に追い込むことすら可能だ。動画が投稿されたことで、そうした事実を全世界が認識したということになる。

 分析能力は怪しく、一個人の操縦するドローンの侵入を迎撃どころか探知すらできない。もはや日本の対ドローン攻撃の抑止力は危機的なレベルに低下した。

2017年から不審ドローンへの対処を要望していた米軍

 次に指摘しなければならないのは、いずもドローン模擬攻撃事件が日米同盟に深刻な影響を与えかねないということだ。今回の映像には、空母エイブラハム・リンカーンやアーレイ・バーク級イージス艦などの米艦艇も高画質で映っている。

護衛艦いずも ©時事通信社

 さらに、米軍は2017年11月、キャンプシュワブでヘリの進路妨害となっているなど、在日米軍基地に不審なドローンが接近している危険な状態を解決してほしいと当時の防衛大臣に強く要望していた。

 しかも、その際にハリー・ハリス太平洋軍司令官は「無人機が在日米軍基地へのテロ攻撃の道具に使われかねない」「無人機が軍用機に衝突する危険性がある」とも危惧したという。まさに今回のいずもドローン模擬攻撃事件は、かねての米軍の不安が具現化したものと言えよう。

 当時、在日米軍のスポークスマンだったジョン・ハッチソン空軍大佐は米軍準機関紙「星条旗」の紙面で「我々はしばしば小型ドローンが在沖米軍基地の敷地を飛んでいるのを見かける。重大な懸念になるほどの頻度だ」と述べており、既に2017年の時点で沖縄の米軍基地では不審ドローンの飛行が頻発していたことが分かる。