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 撃墜のフェーズでは、各国が既に試作品を展示しているような制空ドローンの開発が必要だ。例えばウクライナではパラシュート付きネットガンを装備――相手をネットでからめとり、パラシュートで安全に降ろす――したものや、体当たりして硬い翼で相手機体を切り裂く制空ドローンが投入されているという。

新しい産業革命を前提とした軍事組織と新戦術の必要性

 民間のドローンを撃墜した場合の責任やメディアの反応を考えて、自衛隊側が撃墜を躊躇してしまっては元も子もない。

 それだけに、ドローンの識別も重要である。

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 しかし、自衛隊は低空域における小型ドローンの空域管制がまったくできておらず、飛ばす部隊が無線機で本部に報告しているような有様。そのような状況で、どうすれば識別精度を高めることができるのか。

 ヒントになるのはウクライナで運用されている、官民が一体となった通報アプリと低空域の航空管制アプリだ。前者は各市民がドローンやミサイルを目撃するとそれをスマホから通報できるようになっており、後者は通報内容やレーダー、各部隊の情報を総合し、一つの情報に整理統合ができる。技術を活用し、敵味方及び第三者のドローンの飛行情報を全部隊が共有することが重要だ。

写真はイメージです ©AFLO

 ただし、それでも限界はある。イスラエル軍がガザ侵攻で撃墜したドローンの4割が味方のドローンだったという指摘もなされている。この意味で不審なドローンは即座に叩き落とし、それがメディアや工事用等の間違いであれば補償するような法制度の整備も急務だ。私たち国民の側も自衛隊の電波利用による瞬間的な障害やドローン撃墜を受容するべきだろう。

 いずれにせよ、幕末がそうであったように新しい産業革命を前提とした軍事組織と新戦術を自家薬籠中のものとしなければ、阿片戦争や日清戦争で大敗した清朝の二の舞になりかねない。