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 また、胸部の処置で肺に負担をかけるため、術後に肺機能が落ちやすいのも、食道がん手術の特徴だ。そこで、少しでも肺への負担を減らそうと、1990年代後半ごろから、胸部を処置するときに、胸腔鏡を使った手術が試みられてきた。

 さらに腹部の処置でも、腹腔鏡を併用する病院が増えている。

 ただし、食道がんの手術で胸腔鏡を使いこなすためには高い技術が必要で、黎明期には根治性と安全性を考慮して無理に導入しなかった外科医が多かった。したがって、食道がんでは胸腔鏡や腹腔鏡にこだわるよりも、その執刀医が得意とする安全な方法で手術を受けるのがいいだろう。

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 また、合併症を防ぐためには、術前・術後のリハビリテーションも重要だ。食道がんではまず、術前に呼吸リハビリを行い、肺活量を高めることで術後の肺の合併症を予防する。さらに術後も、社会復帰を早めるために、呼吸、発声、嚥下(えんげ/飲み込み)などのリハビリが重要となる。

 したがって、手術の実績だけでなく、リハビリ医や理学療法士などと連携して、術前・術後のリハビリや社会復帰に取り組んでいるかどうかも、執刀医や施設を選ぶ重要なポイントになるだろう。

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 食道がん治療では抗がん剤と放射線治療を組み合わせた「化学放射線療法」も試みられてきた。この治療を受ければ、食道を残したまま、根治できる可能性がある。しかし、この治療法には再手術が難しくなるなどのデメリットがある。それゆえ最近では、化学放射線療法よりも、手術を第一選択とすべきという医師が多くなった。

 ただ、食道がんは手術が受けられたとしても、再発や転移をすることが少なくない。この場合には、抗がん剤治療や放射線治療が試みられる。つまり、食道がんも、複数の治療を組み合わせた「集学的治療」が必要となることが多いのだ。

 したがって、食道がん治療を受ける施設を選ぶ際には外科医だけでなく、内視鏡専門医、腫瘍内科医、放射線治療医、リハビリ医など、様々な部門が連携した「チーム医療」ができているかどうかも大事だ。病院のホームページなどを見て確認してほしい。

出典:文春ムック「有力医師が推薦する がん手術の名医107人」(2016年8月18日発売)