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このように検査方法の選択によって、患者の生活の明暗は大きく分かれるのだ。

毎年、バリウム検査を受けても無駄?

もう一つのリスクは、ヒューマンエラーによる「見逃し」が多いことだ。群馬県の検診団体では、2010年頃にバリウム検査で「異常なし」と判定された翌年に、進行がんが発見された患者が続出した。事態を重く見た検診団体の幹部(医師)が、過去のバリウム検査の画像を遡って調査したところ、「約3割の見逃し」が判明した。

また、北陸地方の検診団体では、2004年から2009年に見つかった進行がん44例のうち、20例が見逃し例と判明した。見逃し率にすると、「45.5%」である。

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ある大手建設会社に勤務していた男性(当時40代)の妻が、証言する。

「夫は道路の耐震補強プロジェクトを担当していました。健康診断を受けなければならない会社でしたので、バリウムは必ず年一回飲んでいました。その健診では一度も問題になったことがなかったんですけど、食事が飲み込めない、違和感があるという症状が続いたので、近所のクリニックで内視鏡検査を受けたのです。

クリニックの医師から私に電話があって、『細胞をとって調べたら、がんだった。大きい病院に紹介するから、早めに行ってほしい』と言われました。そのまま夫に伝えると、しばらく絶句した後、こう言いました。『毎年検査を受けていたのに、意味がないじゃん。あれは何だったんだ』と」

胃を全摘した患者を襲う七転八倒の苦しみ

基幹病院で精密検査を受けたところ、胃がんのステージ2から3と診断されたが、主治医から手術は可能と言われて、夫婦は希望を持ったという。胃がんの告知から1カ月後、男性は手術で胃を全摘した。

「主治医が、全摘した胃を私のところに持ってきて、触らせてくれたんですが、ごわごわして妙に硬かったんです。その時、想像していたより胃がんは進行しているのでは、という嫌な予感がよぎりました。

退院した帰りに、主治医からは何を食べてもいいと言われたので、ラーメン屋に寄って夫はいつもと同じメニューを頼みました。食べ始めて、すぐに七転八倒です。本当に苦しそうでした」