肝がん、胆道がん(胆管がんや胆のうがん)、膵がんを総称して「肝胆膵がん」と呼ぶ。

 最近は腹腔鏡手術を手がける施設も増えたが、肝胆膵手術は消化器がんの中でもリスクが高く、高度な技術が求められる。どんな点に注意して手術を受けるべきか解説する。

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「5大がん」の一つ「肝がん」

 消化器外科の中で、肝臓、胆道(胆のう、胆管)、膵臓は、「肝胆膵(かんたんすい)」と呼ばれ、一つの領域として扱われている。

 これらのうち、肺がん、胃がん、大腸がん、乳がんとともに、「5大がん」の一つに数えられているのが「肝がん」だ。国立がん研究センターの発表によると、2016年の肝がん罹患数は6位の4万5100人、死亡数は5位の2万8100人と予測されている。

 肝がん(原発性肝細胞がん)の原因は、7、8割がC型肝炎とB型肝炎ウイルスによるものと推測されている。これらに感染すると肝炎、肝硬変と病状が進み、やがて一部の人に肝がんが発生する。肝臓全体が侵されて腫瘍が次々に発生するため、このような状態になった肝臓は「がんの畑」にたとえられることもある。

 かつてC型肝炎は、輸血や注射器の使い回しで感染が広がった。また、B型肝炎は出産時に起こる母子感染が多かった。現在、これらに対しては予防策が進み、感染者は減りつつある。また、C型肝炎ウイルスを高確率で駆逐する新薬も登場し、今後、肝がんは減少していくと予想されている。

 とはいえ、今でも高齢者ほど感染率が高いことがわかっている。血液検査でいずれかの肝炎ウイルスの感染がわかった場合には、適切な治療を受けるとともに、定期的にエコー(超音波)などによる検査を受けたほうがいいだろう。

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 また肝炎ウイルスに感染していなくても、脂肪肝や肝硬変になっていると肝がんのリスクが高まる。これらはもちろん多量の飲酒と関係があるが、最近はアルコールを原因としない「非アルコール性脂肪肝炎(NASH)」も増えており、肝硬変、肝がんの原因となっている。したがって脂肪肝と診断された人はお酒を飲んでいなくても、食生活に注意したほうがいいだろう。