――陽子さんやお子さんのブードゥー教との関わりは?
陽子 強制されるものでもないので、私や子どもはブードゥーには入ってないです。ブードゥーは何かを祭るというよりも、自分たちの体の中にもうあるものみたいな感じで、土着宗教なんですよね。たまにキリスト教とブードゥー教のどちらも入っている人もいますし、ベナンは宗教的には自由な気がします。
ただ、下の子はブードゥーのセレモニーみたいなのが怖いみたいで、あまり参加したがりませんね。ただ踊ったり太鼓を叩いたりするようなものなんですけども。
8年暮らし「日本は寂しい国だ」と言った夫
――陽子さんは日本で出産をされた後、昨年、ベナンに家族とともに戻ってこられたそうですが、その経緯を教えてください。
陽子 ベナンにいてもボナの稼ぎではお金が足りないとなって、まず日本を拠点に生活して、落ち着いたらベナンに戻ろうという計画で、ボナと一緒に日本に帰ったんです。
その間に結婚・出産もして、結局8年も日本に住んでしまって、子どもも4歳と2歳になっていたこともあり、ベナンに戻ることにしたんです。
――ボナさんの日本の感想は?
陽子 ずっと言っていたのは、「日本は寂しい国だ」ということです。というのも、前も話しましたけど、ベナン人って基本的に家の外にいるんですね。だから、道を歩いていたら必ず誰かに会うし、子どもも1家族につき5~6人はいるから子どもの数も多くて、平均寿命が短いこともあり、若い世代が多くて活気に溢れているんです。
だけど、日本はあんなに家も密集してて人もいっぱいいるはずなのに、仕事が終わって帰ったら家の周りで出歩いている人はほとんどいない。「なんで人がこんなにいないんだ。静かすぎる」と驚いていました。
――そう言われてみるとたしかに……。
陽子 あと、ベナン人ってアポなしで急に家に遊びに来るんですね。でも、日本だと前々から予定を組むじゃないですか。それについても、「日本はなんてめんどくさいんだ」とよく言ってました。「なんで前々から決める必要があるんだ」って。
――自分の好きな時に行ったらいいじゃないか、と。
陽子 そうです。「家をきれいにしたり、お客さんを迎える準備もあるやんか」と言っても、「普段の生活を見せるのに何が困るんだ」となってしまう。まさに文化の違いですね。