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一緒に帰国したベナン人夫が「日本は寂しい国だ」と…アフリカで第二夫人になった日本人女性が感じたカルチャーギャップとは?

一緒に帰国したベナン人夫が「日本は寂しい国だ」と…アフリカで第二夫人になった日本人女性が感じたカルチャーギャップとは?

エケ陽子さんインタビュー#2

2024/06/23

genre : ライフ, 社会, 国際

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よくも悪くも、たくましいベナンの子どもたち

――ベナンの子育てはどんな感じですか。

陽子 こっちは基本的に子どもは野放しなので、外に行ったら暗くなるまで遊んでいます。地域で子育てするのも当たり前なので、上の子や他の親が見ててくれる。その意味では、のびのびと生活できていいなと思います。

 ただ、親がそうするからか、子ども同士でのケンカも激しいのはちょっとなぁ、というのはありますね。

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――親が子どもを叩いたり?

陽子 めっちゃ叩かれてますね。低収入の家庭が多いので、子どもたちは小さいときから親を支えるために家事・育児もこなしますし、仕事も手伝います。教育を受けられない子どもも多いですし、子どもの人権が蔑ろになっている面もあると思います。

 よくも悪くも子どもたちがたくましいこともあって、悪知恵も働きますね。

――悪知恵とはどんなものですか?

 

陽子 少し前の話なんですけど、子どもたちが家のサッカーボールをよく借りに来てたんです。「うちの子と一緒にやってね」と言って渡してたんですけど、うちの子はまだ5歳と3歳なので、大きい子と一緒に遊ぶと全然ついていけなくて、ボールだけ置いて帰ってきちゃったりして。それで、ボールを置き去りにしたまま1日返ってこないとか、ボロボロに壊したボールを家の前に置きっぱなしにされたりとか、そんなんがありまして。

 謝ってくれたらいいんですけど、それもなく、誰が壊したかも分からんものを返されたまま、また「ボール貸して」と普通に来るから、「いやいやいや」となったり。だけど、ボナが出てきて、「お前らこれ壊したやろ! もう絶対貸さんからな!」と言うとパッタリ来なくなって。

――陽子さんが言っても効かないけど、ボナさんが出てくると行動を変えるんですね。

陽子 家に男性がいないとわかると、「お金くれ」って言って来る子も結構いて。みんなフランス語が通じないのでいろいろ説明してもボーッとして聞いているだけですけど、「お金ちょうだい」のときだけは、メッチャうまくフランス語で言ってくるんです(笑)。そんなんとか、多々あります。

 でも、いろいろあっても、子どもの世界はそれなりに楽しいのかなとも思ってて。上の子も、去年まではずっと「日本がいい」と言っていたけど、最近は、「ベナンの方が毎日友だちと外でいっぱい遊べていい」と話しています。

生命力が魅力のベナンの人々

――改めて、陽子さんが考えるベナンの魅力を教えてください。

陽子 ベナン人は生きる力が強いというか、日本では感じない、「この人たちはどっこい生きてる!」という生命力を感じるんです。

 日本での自分は、ただ日々をこなしていただけだったなと改めて思って。子育てや家事で余裕がなかったというのもあるんですけど、こなしているだけでも生活が成り立ってしまって、生きている実感なんて感じたこともなかったというか。

 でも、こっちだと女性の元気さは大きいし、子どもの目もキラキラしてて。ずる賢いし逃げ足もメッチャ速いですけど、躍動感がすごいなぁと思うんです。

 
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