「あかん」と結婚を反対した父…
――ボナさんとの結婚にあたり、陽子さんのご家族の反応はいかがでしたか。
陽子 最初、父にボナの話をしたら、「あかん。アフリカ人なんか働かんとふらふら生きてるような人間やろ」みたいな感じで、差別発言を連発されて傷つきました。でも、ボナと会って彼の人柄に触れたらすっかり仲良くなって、今では「ボナちゃんボナちゃん」と言って、子どものようにかわいがっています。
実際、日本にいたときも派遣に登録して仕事をしていましたが、最後の3年はボナ本人の頑張りがあり正社員となって働いていました。
――ベナンはフランス語圏ということですが、ご家庭での言語は?
陽子 日本語、現地語のアジャ語、フランス語が飛び交ってます。ベナンは40くらいの民族が暮らしていて、ボナはフランス語に加えて4つか5つの現地語を喋れるんです。なので、耳がいいのか、読み書きはさっぱりなんですが、日本語はかなり上手にしゃべります。関西弁ですけど(笑)。
逆に私は、アジャ語は挨拶程度しかできないので、子どもの方が上手ですね。
最初はずっと「日本に帰りたい」と泣いていた長男
――お子さんは、日本とベナンのルーツを持っていることを理解している?
陽子 私と子どもが外に出ると、外国人という意味の「ヨボ」って言葉を必ず周りの人から投げかけられるんですけど、子どもは、「ママ、言われてるよ」という感じで、自分たちじゃなく、あくまで私だけが言われていると思っているみたいです。だから、本人らは「僕たちはベナンの人と同じ」くらいの意識なのかなと。
「パパの方が真っ黒で、ママは白いね」とか、「自分はちょっと黒いけどそんなに真っ黒じゃない」とかってたまに言ったりしますけど、それを気にしている感じでもなく。
――お子さんは、ベナンの暮らしにすぐ馴染みましたか。
陽子 下の子はすぐ慣れたんですけど、当時4歳だった上の子は、最初ずっと「日本に帰りたい」と泣いていました。Switchの電池が切れたらタブレットに切り替えてYouTube。で、タブレットの充電がなくなったらまたSwitch、みたいな生活を1ヶ月以上してたんですけど、使い過ぎたのか、タブレットが壊れたんですよね。
でも、実際に使えなくなったらそれほど執着もなく、外で遊ぶ時間が増えるうちに現地語も覚えてきて、という感じで、馴染むまで3ヶ月はかかったと思います。