〈うさんくさい……〉
NHKの連続テレビ小説「虎に翼」で、伊藤沙莉演じるヒロインの寅子の肩に手を置いた瞬間、心の声でこう評されたのは、司法省の幹部を演じる沢村一樹だ。
平成の御世では、エロ男爵として名を馳せた沢村だが、はて? 令和では?
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現場ではスマートな紳士ぶりを披露
沢村は司法省の寅子の上司で、アメリカかぶれの裁判官・久藤頼安、通称ライアンを演じている。久藤のモデルは、東京家庭裁判所所長などを歴任し、学習院院長も務めた内藤頼博だ。江戸時代には信州高遠藩3万石を治めた内藤家の15代目当主。「殿様判事」と呼ばれた実在の人物で、子爵でもあった。
男爵から子爵に、爵位が一つ上がったことになる沢村。現場ではスマートな紳士ぶりを披露していた。劇中で久藤に「ハーシー」と呼ばれる裁判官で、寅子の大学時代からの同級生・小橋浩之役の名村辰が語る。
「沢村さんには、僕ら若手の役者にも分け隔てなく接していただきました。現場の空気を和ませてくれる方でしたね。ある時、エッグタルトを差し入れしてくださって、それがとてつもなく美味しかったのをよく覚えています」
差し入れで現場の心をつかむ沢村は、爵位ならぬ肩書を替えながら芸能界を巧みに渡り歩いてきた。