【その1 世の中のためにならない奴を殺る】
【その2 保険金目的では殺らない。足がつくからだ】
【その3 欲張りな奴を殺る】…
独自の殺しの哲学で、邪魔者とみなした相手を何人も殺害してきた“殺人ブリーダー夫婦”。しかし“透明にされる”ことを恐れた共犯者Yの自首により、その悪行もすべて公になってしまう…。殺人者であることがバレた2人は、その後どうなってしまったのか? 新刊『世界の殺人カップル』(鉄人社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/前編を読む)
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ヤクザでさえ「透明にする」殺人ブリーダー夫婦
Kさんが行方不明になったことを受け、彼の家族が警察に相談し、関根に会うと言ったまま行方がわからなくなっていることを告げた。が、この時点で警察がまだ事件性を疑うまでには至らない。同時にKさんの家族と関根の間で話し合いが持たれた。詳しい事情を聞き出そうとする彼らの前には、関根、風間の他に稲川会系暴力団組長代行のE(同51歳)がいた。Eは関根の以前からの知り合いで、アフリカケンネルで顧客とトラブルが発生した際に仲裁役を務めるなど、関根の用心棒的な存在だった。が、話を聞くうちEは、関根がKさんを殺したものと確信する。
そこで、Eは全て事情を察知していると脅し、関根から金銭を要求。それが滞ると、新しく建て直した犬舎の土地建物の登記済証を要求するようになる。このままでは全財産を搾り取られてしまう。追い込まれた関根と風間にとって、解決策は一つしかなかった。
1993年7月21日夜、2人はYの運転する車でE宅を訪問、新犬舎の登記済証を渡し油断させたうえで、硝酸ストリキニーネ入りのカプセルを栄養剤と偽ってEと、彼の側近である運転手の青年W(同21歳)に飲ませ殺害。Kさん殺害時と同様、Y運転の車でポッポハウスに向かい、関根と風間の共同で解体作業に入る。このとき、風間は血だらけになりながら演歌を鼻歌で歌っており、その様子を見たYは腰を抜かし、己の運命を呪う。今度殺られるのは自分に違いない、と。
1ヶ月後の8月26日、関根はアフリカケンネルの従業員の母親で、肉体関係もあった行田市主婦のSさん(同54歳)を魔の手にかける。以前からアフリカケンネルの顧客だった彼女に、関根と風間は同社の株主になるように持ちかけて出資金を詐取しようと計画。その時点で殺害も企んでいた。この日、関根は行田市内でSさんを車に乗せて、株券購入代金という名目で、当時のS家の全財産にあたる270万円を欺し取ったうえで、これまでと同様、硝酸ストリキニーネ入りカプセルを飲ませて彼女を殺害。
その後、Yの運転する車で遺体をポッポハウスに運び、いつもの手口で解体・処理を行う。後のYの証言によれば、このとき関根はバラバラにする前にSさんの遺体と屍姦したそうだ。
4件目の殺害を終えた関根は帰りの車中で、Yに自身の殺しの哲学を語った。
【その1 Kのような世の中のためにならない奴を殺る】
【その2 保険金目的では殺らない。足がつくからだ】
【その3 Eのような欲張りな奴を殺る】
【その4 血は流さない】
【その5 ボディは透明にする】