『BLANK PAGE 空っぽを満たす旅』(内田也哉子 著)文藝春秋

 樹木希林と内田裕也を両親に持ち、19歳で本木雅弘と結婚、3人の子育てをしながらエッセイの執筆や海外絵本の翻訳を手掛ける著者。母親を亡くしてから始まった「週刊文春WOMAN」での連載をまとめた本書が話題を呼んでいる。

「『週刊文春WOMAN』創刊の準備中だった2018年に希林さんが他界し、著者の弔辞に感銘を受けた編集長が連載を依頼。5年経って本が出た後に『あの時はあまりにも大きな喪失に頭が真っ白だったけれど、書くことで整理できた』とおっしゃっていました」(担当編集者の梅崎涼子さん)

 谷川俊太郎、養老孟司、小泉今日子など15名の多彩なゲストと対話し、心のやりとりを紡いだ。連載中に父親も亡くし、両親を失った喪失を埋める心の旅路となった。戦没画学生慰霊美術館「無言館」館主の窪島誠一郎が樹木から「私ね、あなたみたいなワイルドには慣れてるのよ」と言われたという話や、横尾忠則が内田裕也に友情を感じたというエピソードなど、各人が語る両親との交流もユーモラスに綴られる。

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 読者は当初、著者と同世代の女性が多かったが「あさイチ」など情報番組に著者が出演後、年齢層が広がり男性からの支持も増えた。

「ゲストとの対話は編集者の同席もなく2人きり。親密で率直な語らいに、共感したり励まされたりするのだと思います」(梅崎さん)

2023年12月発売。初版1万部。現在7刷9万3000部(電子含む)