“From Hell(地獄より)”と記された切り取った腎臓入りの手紙
4人目の被害者はキャサリン・エドウズ。エリザベスの遺体が見つかった45分後に、遺体が発見されている。キャサリンはパートナーと3人の子供を育てていたが、アルコール中毒が原因で家族の元を去る。キャサリンもまた安宿に住み始めるが、前の3人の被害者のようには売春はしていない。事件当時、キャサリンは付き合っていた男とホップを収穫して生計を立てていたが、仕事は上手く行かず、住んでいたアパートから追い出され、アルコールに走っていた。
9月29日午後8時頃、警察は通りで倒れているキャサリンを発見、警察署に連行したものの、9月30日に入った深夜、釈放した。午前1時45分、彼女の遺体が発見されたが、その殺され方は凄惨だった。喉や顔は切り裂かれ、内臓はえぐり出され、左の腎臓と子宮の大部分が切除されていた。犯人は、三人目の被害者エリザベスの遺体切断を途中で邪魔された怒りをキャサリンにぶつけたのではないかと警察は考えた。
遺体の近くには「ユダヤ人は、何の罪にも問われない」という落書きもあったという。警察はその落書きが事件と関係があるかどうか確信が持てず、また、反ユダヤ主義の暴動が起きることを恐れて、その落書きを無視したという。
この事件から数週間後、警察は、腎臓の一部が入っている手紙を受け取る。差し出し人のアドレスには“From Hell(地獄より)”と記されていた。
もっとも悲惨な最後の被害者は、内臓を部屋にばら撒かれ…
最後の被害者メアリー・ジェーン・ケリーは、もっとも悲惨な殺され方をしている。ケリーは炭坑夫と結婚するも、夫が事故死したことから、高級売春宿に住み込んで売春を始め、そこで出会った男と一緒に暮らすようになるが、喧嘩が絶えず、アパートから追い出される。
11月8日夜、この男と会って別れたメアリーが、一人でパブで飲んでいるところが目撃されている。11月9日午前0時過ぎには、メアリーの部屋から彼女の歌声も聞こえていた。
同日午前、大家が家賃を取りに彼女の部屋に行くが返事がないため、窓から中を覗き込んだところ、そこには直視できないメアリーの遺体があった。頭はねじ曲げられ、腹部からえぐり出された内臓は部屋中にばら撒かれていた。鼻、頬、眉、耳、腕は部分的に切り落とされ、両乳房は切り取られていた。心臓は見つからなかったという。