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ホン・サンス作品定番の「映画監督」「酒」

──ホン監督作品には映画監督の役が頻繁に登場しますね。

クォン 監督はもっともらしい叙事(ストーリーテリング)を極度に嫌う作家です。彼の話は、自分が知っていて周辺で見られるところから出発します。だから彼の映画には、悩む若い監督や失敗した監督、欲望に振りまわされる監督などいろんな監督が登場します。

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 本作も屋上でビョンスが「済州島で映画を撮る」と言う場面があります。これは「私が突破できることは映画を撮ることだけだ」と常に言っているホン監督自身に重なります。実際、ホン監督は本作が終わった後、済州島に行って映画を撮りました。

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──どの作品も必ずお酒を飲むシーンが出てきますが、その理由は。

クォン 監督にとってお酒は、人を率直にさせる装置なんです。自分の本心をさらけだし、相手の言葉に耳を傾けることができますから。監督の映画でお酒のシーンがない作品なんて想像もつきません。

 ただ、10年前に比べると、最近のお酒のシーンはかなりマイルドになりましたね。以前のように激しく感情がぶつかるシーンもなく、お酒も焼酎からマッコリへと変わりましたし(笑)。

──キム・ミニさんがプロデューサーとして参加しています。

クォン 監督の映画はプロデューサーとして介入する余地は少ないと思います。プロデューサーは制作の計画を立て、監督にアドバイスをすることが役割ですが、脚本自体がないのですから。

 ただ、プロデューサーとしてのキム・ミニは、役者としてのキム・ミニよりはるかに生き生きしていると感じました。受動的な立場である役者に比べ、プロデューサーは能動的な立場だからだと思います。