日本では串本のほか3都市にも寄港
さて「クナルアダ」やが4月にイスタンブールを出港、4カ月かけ、親善と訓練を兼ね20カ国、24の都市に寄港するが、日本にはエルトゥールル号が遭難した串本やここ東京、さらに広島、呉と3都市にも寄港する。東京に寄港する途中のソマリア沖アデン湾ではジブチを拠点とし情報収集任務等で活動中の海上自衛隊P-3C哨戒機と親善訓練も行ったし、6月10日には串本市の「エルトゥールル号」慰霊碑前では日土協会総裁でもあられる三笠宮彬子様のご臨席を仰ぎ、岸本周平和歌山県知事、田嶋勝正串本町長、コルクット・ギュンゲン駐日大使やクナルアダのセルカン・ドアン艦長はじめ約130人の乗員も出席、慰霊碑に献花し、犠牲者を追悼した。
東京でもこの親日国家トルコの新鋭艦の人気や関心は高く、不肖・宮嶋が取材した14日金曜日に行われた一般公開は午前10時から12時までの半日だけで740人が訪れた。
ウクライナに輸出される予定だった姉妹艦
さてと、ここから先はちょいときな臭くなるが、じつはこのクナルアダ、ステルス性を備えた独特のシルエットが特徴の他、排水量2400トンのコルベットのこのどんがらで最高速31ノット(約57キロ)はまあ常識的なんやが、艦首に76ミリ速射砲、8基のトルコ国産ミサイルも含むハープーン対艦ミサイル、多連装短距離対空ミサイル発射機SeaRAM1基、連装魚雷発射管2機、さらに後部のヘリ格納庫には撮影は認められなかったがシーホーク1機、さらにさらに甲板四隅には前の大戦時のドイツ軍のMG42機関銃と同型のMG3機関銃まで備えられているとまあトップヘビーというかハリネズミ状態であった。このクナルアダと姉妹艦のアダ級コルベットをトルコはウクライナに輸出する予定で建造も進んでいたが、ロシア軍によるウクライナ侵攻でストップしたまま。
もし、このアダ級コルベットがウクライナ軍の艦艇として黒海に配備されていたなら、果たしてプーチンはウクライナ侵攻に踏み切ったか否か、まあ少なくとも黒海の戦況は大きく変わっていたかもしれん。それでもウクライナの前線ではトルコ製の攻撃型無人機「バイラクタル」が大きな戦果をあげ、ロシア軍の脅威となっている。そんなトルコもオランダ同様NATO加盟国、それながらロシアともうまく立ちまわっているのが現状である。
しかし、現在の日本政府や自治体にはトルコやフィンランド、台湾などの親日国に信頼されるに足る資格や政策はあるのか。ロシアに堂々と立ち向かった明治政府の政治家や軍人が持っていた戦略や気概があるのだろうか?
撮影 宮嶋茂樹